元J1所属クロアチア人サッカー選手ミキッチ氏「2対3でクロアチア勝利」を予想
サッカーJ1サンフレッチェ広島などに所属していたクロアチア人元サッカー選手のミハエル・ミキッチ氏が取材に応じ、5日のサッカー・ワールドカップ日本対クロアチア戦について、「2対3でクロアチアが勝つだろう」と予想しました。
■森保監督&浅野選手の元チームメイトがクロアチア戦展望を語る
ミハエル・ミキッチ氏は、J1サンフレッチェ広島に所属していたクロアチア人の元サッカー選手です。サンフレッチェ広島在籍時には、日本代表の森保監督の指導を受けていたほか、同じく日本代表の浅野拓磨選手ともチームメートでした。
4日、クロアチアの首都ザグレブでNNNの取材に応じたミキッチ氏は、5日のサッカー・ワールドカップ日本対クロアチア戦について、「2対3でクロアチアが勝つだろう」と予想しました。
■「日本代表の活躍にとても驚いている」
──予選の結果について驚きましたか?
正直に言ってとても驚いています。なぜならスペインもドイツもワールドカップの優勝国ですから。もちろん日本代表の質の高さも知っていますし、日本代表でプレーする選手も注目していますが、決勝トーナメントに進むのはスペインとドイツだと思っていました。
日本対ドイツ戦は、通常なら最低でも0対3でドイツが勝つはずのところを、後半に森保監督が選手を代えたことで、日本代表はとてもいいプレーをしたと思います。
■「森保監督の戦略はとても良い」「浅野選手は“ジョーカー”」
──今大会での森保監督の戦略をどう見ていますか?
とてもいいと思います。相手がミスするのを待って、ミスがあったらスピードのある選手がすぐに前線へとボールを持っていくという戦略がとてもはまっていると思います。さらに、森保監督はプランAもあればプランBもあるということで、戦術を変えているのもいい点だと思います。
──広島で一緒にプレーした浅野拓磨選手の印象はいかがですか?
彼は「ジョーカー」のように、途中から試合に入ってくると何か新しい、良い流れをつくってくれます。ただ、浅野選手は2か月前にケガをしているので、先発メンバーとしては起用しにくいでしょう。それでも森保監督は浅野選手がとてもいい選手だと分かっているので、残り30分~20分のところで、彼を「ジョーカー」のように使うと決めたのだと思います。浅野選手はスピードもテクニックもあるので、クロアチア代表にとって危険な存在です。控えには良い変化をもたらしてくれる選手が必要ですが、浅野選手はそういう選手だと思います。
■「日本代表はベテランと若手のバランスが良いチーム」
──今大会での日本代表をどう評価していますか?
ベテランの選手と若い選手のバランスがとても良いチームだと思います。吉田選手や長友選手のようなベテラン選手から堂安選手や三笘選手のような若い選手もいる。完璧な組み合わせだと思います。ハングリー精神のある若い選手と、若い選手を後押しするような経験豊富なベテランの選手がチームにいることは非常に重要なことです。
──今大会これまでに最も良いプレーをしている日本の選手は?
とても難しい質問ですが、サッカーはゴールのためにプレーしているという観点から分析すれば、堂安選手のドイツ戦とスペイン戦でのゴールはとても素晴らしいものでした。あの2つのゴールは、「俺たちはできる」という力を与えるものだったと思います。そういう意味でも、堂安選手が今この瞬間で日本代表で最高の選手なのかもしれません。
──クロアチア代表の今大会での印象はいかがですか?
とてもスマートにプレーしていると思います。クロアチア代表もベテランから若手までうまく組み合わさっているんです。モドリッチ選手がトップにいて、ディフェンダーには、20歳のグバルディオルという選手がいますが、おそらく現時点で世界最高のディフェンダーのうちの1人です。また、前回大会で準優勝した時の経験も持っていますから、「今度は優勝したい」という精神的な後押しが若い選手たちにとって良いモチベーションになっていると思います。
■「2対3でクロアチアの勝利を予想」
──日本対クロアチアの試合をどのように予想していますか?
決勝トーナメントで日本とクロアチアが対戦するのをとても嬉しく思っていますが、この地で生まれ、この地で育ったクロアチア代表ファンの1人として、私の心はクロアチアに傾いています。ですので、0対1か、1対2か、あるいはみんなが見て楽しいエキサイティングなゲームであれば、2対3でクロアチアの勝利だと予想しています。
もちろん対クロアチアでなければ、私の心はいつも日本に傾いています。ただ、今回は私にとって難しい組み合わせですが、やはり私はクロアチアのファンなので、クロアチアの勝利を予想します。
──日本代表はクロアチア代表に対してどう戦うべきですか?
我慢してプレーをして、クロアチア代表を緊張させることです。辛抱強く、相手にチャンスをつくらせるようなスペースを与えないことですね。そして時間がたったところで前線へ前線へとボールを運ぶことだと思います。誰も延長戦やPK戦はやりたくないですから、我慢強くスマートにやることだと思います。
■今も続く「キングカズ」との交流
インタビューの最後に、サンフレッチェ広島で指導を受けた森保監督と、クロアチアリーグで一緒にプレーした三浦知良選手との思い出について聞いた。
──森保監督との思い出について聞かせてください。
森保監督とは、本当にいい思い出があります。森保監督とは3回、Jリーグで優勝しています。ケガをした時もいつも励ましてくれましたし、いつでも「大丈夫だよ」と声をかけてくれました。また、彼が怒っている時に、私のところに来て、「オーケー、もっと君に期待しているよ」と言うことがあるんです。それはつまり、本当に良い関係、誠実な関係を持っているということです。その裏には何もない、つまり常に顔と顔を合わせている。彼は裏表なく、いつも本当に正直に話してくれますから、彼が選手に伝えてくれることはとても重要なことなんです。
──三浦知良選手とも同じチームでプレーしていましたよね?
クロアチアリーグで同じチームで一緒にプレーしました。彼は日本からのビッグスターとしてやってきたんです。その後、日本に戻って、55歳になっても、彼はピッチに立ち続けている。それは、尊敬に値すると思います。50歳をこえてプロサッカー選手としてプレーしている人は世界中にいません。それはカズに対する大きなリスペクトであり、彼がこの仕事のためにどのようにプロとして生きているかということを表していると思います。そして、彼がこの仕事に対してどのような情熱を持っているのか、それが大きな尊敬の対象となっています。
彼とは時々、SNSのメッセージでやりとりしています。最近はグアムからメッセージを送ってくれて、「今は次のシーズンに向けての準備をしていて、俺はまだ若いから、情熱を持ってプレーしたいんだ」と言っていました。
──クロアチアとの試合が決まってからもやりとりがありましたか?
いえ。ただ、日本対クロアチアの試合が終わったらお祝いのメッセージを送ってくれるかもしれないですね(笑)