ロシアによる攻撃で動物も犠牲に 動物園では略奪や“虐待”も ウクライナ
ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、東部ドンバス地方などで激しい戦闘が続いています。無差別な攻撃で多くの人命が失われる中、多くの動物も犠牲になっています。ウクライナ当局の推計では、ロシアの侵攻で犠牲になった野生動物は100万匹以上にのぼるといいます。
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ウクライナ東部ドネツク州では、7日のロシア軍の砲撃で住民ら10人が死亡しました。無差別な攻撃で住宅など民間施設も破壊され続けています。
戦闘によって平穏な暮らしを奪われたのは、住民だけではありません。ウクライナメディア「24チャンネル」は、動物園での略奪とされる映像を公開しました。ロシア側の人物がしっぽをつかんでいるのはアライグマです。暴れるアライグマを乱暴にオリに投げ入れました。
ここでは、他にもオオカミやクジャクなど多くの動物が略奪され、行方がわからないといいます。
ウクライナメディア「ICTV」では、砲撃によって顔に傷を負ったライオンの映像も。安定剤をあたえて落ち着かせる措置などが必要だということです。攻撃を逃れたものの、砲撃の音におびえ、自ら壁に身を打ち付けるなどの異常行動によって命を落とすケースも報告されています。
ウクライナ当局の推計では、ロシアの侵攻で犠牲になった野生動物は100万匹以上にのぼるといいます。
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先月、私たちは、ウクライナ・キーウにある動物保護団体「UAnimals」を訪れました。この団体では、野良犬の子犬から動物園の猛獣のライオンまで、幅広く保護しています。
激しい戦闘が続くウクライナ東部から動物を保護し、ケガをした動物には手術して治療した上で、ウクライナ国外の支援先へと送り出しています。侵攻直後からこれまでに救出した動物は、数千匹にのぼるといいます。
トラやライオンなどの猛獣を中心に保護しているナタリヤさん。案内してくれたのは、今年9月に保護されたというメスのライオンでした。
猛獣を中心に保護するナタリヤさん
「(東部の)ドネツク州の動物園から保護したライオンです」
戦闘などの影響で悪路を移動せざるをえず、オリにぶつかってケガをしたといいます。そのため、麻酔を打った上で、ナタリヤさん自らオリの中に入り、ライオンを抱いたまま移動したといいます。
実はこのライオン、赤ちゃんを身ごもっていました。しかし、赤ちゃんは助かりませんでした。ここで治療を受けた後、南アフリカの保護センターに送られる予定です。
今年9月には、ウクライナ東部のバフムトで、鎖につながれて立つのもやっとな状態まで衰弱したクマを救助しました。
さらに別のクマは、ロシア側から虐待を受けていたとみられ、当時、脳しんとうのような状態だったといいます。
ナタリヤさんは「ロシア人は動物たちを虐殺しています。東部に行った時に動物たちの死体をたくさん見ました。私たちの活動が必要なくなることを望んでいます」と話しました。