フランス大統領選挙「極右政党」ルペン候補が目指す政治は? 「ルペンの街」を取材
フランス大統領選挙の決選投票が24日に行われます。選挙戦は現職のマクロン大統領に対し、極右政党・国民連合のルペン候補が追い上げています。ルペン氏が目指す政治はどのようなものなのか、国民連合の幹部が市長をつとめる「ルペンの街」を取材しました。
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テレビ討論会で向かい合うマクロン大統領とルペン候補。ウクライナに軍事侵攻したロシアとの関係をめぐり、激しい議論を交わしました。
フランス マクロン大統領
「あなたは、2014年のロシアのクリミア併合を認めた欧州で最初の政治家の一人だ」
マクロン大統領は、「ルペン候補がロシア寄りの姿勢を取ってきた」と厳しく非難しました。
フランス マクロン大統領
「あなたはロシアの力に依存している。あなたはプーチン大統領に依存している」
野党「国民連合」 ルペン候補
「あなたは、私が独立していることをわかっているはずだ。私がフランスとフランス人を守るのは、愛国者であるからだ」
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また、今回のテレビ討論会で外交政策とともに時間が割かれたのが、経済対策です。
野党「国民連合」 ルペン候補
「70%の国民がこの5年間で、購買力を失ったと考えている」
フランス マクロン大統領
「あなたの政策目標には、『失業』という言葉がない。つまり、私の5年間の成果を認めてくれたということだ。感謝申し上げたい」
ウクライナ情勢を受けて、フランスでは物価上昇が深刻化しています。
市民
「野菜や果物、チーズもすべてが高い」
パリ市内のスーパーでは、小麦粉・砂糖、そして、ヒマワリ油が売り切れてしまっていました。ウクライナからの供給がストップしたことなどで、品不足にも陥っています。
選挙戦は当初、マクロン大統領の圧勝とみられていましたが、エネルギー関連の税金引き下げなど経済対策を前面に掲げたルペン候補が猛烈に追い上げています。
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ルペン氏が目指す政治は、どのようなものなのでしょうか。そのヒントを探るため、日本テレビは北部の小さな街・エナンボーモンを訪れました。
8年前からルペン候補率いる極右政党「国民連合」の幹部が市長を務めていることから、「ルペンの街」として知られています。極右政党の市長の就任後、これまでのイメージを払拭するため、市役所はきれいに改修されました。今では「ルペン候補のホワイトハウスのようだ」とも言われています。
この街は「国民連合の実験室」とも呼ばれていて、特に力を入れているのは減税と治安対策です。
エナンボーモン市役所助役
「私たちは7回にわたって、地方税を減税しました。警察官もほぼ倍増させました」
エナンボーモン市民
「市長はすばらしいです」
エナンボーモン市民
「最大の関心事項は“購買力”です。減税は多くの国民を助けると思います」
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一方で、市は新たな移民を受け入れないとする「移民拒否憲章」を制定しました。強制力はありませんが、「人種差別的だ」との批判も上がっています。
エナンボーモン市議会 野党議員
「(受け入れる移民について)市は“文明的な移民”という言葉を使いました。『(自分たちと)同じような文化の移民であれば良いが違うとちょっと…』と」
選挙戦で過激な発言を控えているルペン候補ですが、公約ではイスラム教徒を標的に「公共の場でのベール着用禁止」などを掲げていて、基本的な“反移民”の思想は変わっていません。
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仏調査会社「IFOP」が20日発表した世論調査では、マクロン大統領が最終盤で支持率を55.5%に上げ、ルペン氏を10ポイント以上リードしています。決選投票は24日に行われます。