【独自解説】ウクライナによる大規模越境攻撃は、ロシアの「核使用」の条件に当てはまる?和平交渉を有利に進める切り札として狙いは「原発」か…戦争の行方と日本への影響とは

平和の祭典の裏で、ウクライナはロシアに対し過去最大規模の越境攻撃を行っています。今後、和平交渉を有利に進める切り札として、原発を押さえたい思惑が見え隠れする一方で、ロシアが“核使用”に踏み切る条件に近づいているという懸念も…戦争の行方はどうなるのか?『読売テレビ』高岡達之特別解説委員の解説です。
■ウクライナがロシアへ大規模越境攻撃 使われたのは「自衛のための欧米製兵器」
ロシアとウクライナの戦争ですが、この戦争はロシアが一方的に攻め込んで、ウクライナはずっと耐えて防戦をしてヨーロッパやアメリカの支援を受けている、皆さんも理解していると思います。私もそう思っていましたが、ゼレンスキー大統領は、正規軍が国境を越えてロシア領内に攻め込んでいる、ということを認めました。
どれくらい攻め入っているかというと、1000平方キロメートルという、大阪府の半分ぐらいの結構な広さをウクライナ軍が占領しています。ただ、当然そこにはロシアの人が住んでいて、12万人以上がすでに避難をしています。人的犠牲は明確に分かりませんが、かなり出ているだろうということです。
ここで一つ問題となるのが、使われている兵器が、明らかにアメリカ・ヨーロッパが供与したものだということです。
もともとは圧倒的なロシアを前にして、「自分の国を守るための兵器が足りない」というウクライナを応援しましょうと供与されたものだったのですが、それには「ロシアを刺激しない」という条件がついていました。
しかし、「国境を越えて飛んでいくようなミサイルは渡さない」と言っていたのですが、今回、ホワイトハウスの報道官は、「使われているでしょうね」という言い方で、アメリカが供与した兵器を使っていることをほぼ認めました。
すると、世界が今まで同情してきたウクライナの、「自衛とは何か」という解釈の問題が出てきました。もちろん、ウクライナは「押されっぱなしで相手の領土に一歩も入るなというのはおかしい。相手の領土を攻めることも自衛だ」と言っています。このあたりの国際法の解釈は難しいですが、同情論というものは確実に弱まります。