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聴覚障がいのダンサーMAHOさん「自分を誇っていいんだ」 音のない世界でダンスを…14歳少女の仲間たちとの挑戦『every.特集』

2024年12月8日 18:54
聴覚障がいのダンサーMAHOさん「自分を誇っていいんだ」 音のない世界でダンスを…14歳少女の仲間たちとの挑戦『every.特集』

リズムに合わせて踊る少女・14歳のMAHOさん。彼女が生きている世界は音のない世界、彼女は耳が聞こえません。「ダンスで通じることってたくさんある」と話しますが、どうやって踊っているのでしょうか。MAHOさんが生きるダンスの世界を見つめました。

■耳が聞こえなくても踊れる! ダンスとの出会いは6歳

特別支援学校に通う、14歳のMAHOさん。慣れた道でも常に周りに注意を払います。

MAHOさん
「(道が)狭いので後ろから車がくるのが分からない。いつも後ろをうかがったりして、視覚の情報をとても大事にしています」

補聴器をつけると車のクラクションなどの大きな音はわずかながら聞こえますが、人の話し声や音楽のメロディーなどを完全に理解することはできません。

■聞こえなくても踊れるという楽しさを知る!

そんな生活の中で、ダンスへのヒントを探しています。

MAHOさん
「いろんなところを常に気をつけて見ている。ダンスも小さな動きを見逃さないで踊ることが必要。普段気にして歩いているのもダンスにつながっていると思います」

MAHOさんは、生まれつき耳が聞こえません。ダンスに出会ったのは6歳のとき。母親と行ったワークショップで聴覚障がいのダンサー、“デフダンサー”に出会いました。聞こえなくても踊れる、その楽しさを知りました。

MAHOさん
「聞こえなくてもちゃんと踊れる人がいる。それを見て『自分はダンスが好きだ』と感じたのがきっかけ」

■東京パラリンピックの開閉会式にも参加

それから、デフダンサーのチームに入るなど活動を開始し、3年前の東京パラリンピックの開閉会式にも参加しました。

MAHOさんは、どうやってダンスを作り上げているのでしょうか。ある日、同じチームで、健常者のTOMOYAさんと練習していました。まずは、数字のカウントに合わせて振り付けを覚えます。

次に音楽をかけるとTOMOYAさんがテンポを足で刻み、曲の雰囲気を体の動きで伝えます。MAHOさんはそれを見て、音のわずかな振動も感じながら音楽の雰囲気をつかみます。音楽が盛り上がるときは動きも大きく…ひと通りつかんだところで、踊ってみます。

MAHOさん
「音楽の歌詞やメロディーの細かいところは分からないけど、『こういう世界観か』とつかみ、みんなに見せられたらいいなと」

■チーム名はダイバーシティから「DIVERz」と名付け

MAHOさんは今、新しい挑戦を始めています。
それは、様々なバックグラウンドがある人たちが集まったパフォーマンスチーム「DIVERz」への参加です。
健常者のTOMOYAさんは「DIVERz」設立者で共同代表でもあります。

チームには、視覚障害がある人やダウン症の人などが所属しており、チーム名は「多様性」を表すダイバーシティからとられています。

1週間後に大阪・阪急サン広場で行われる「ひときわ音楽祭2024」への出演を控えるなか、「DIVERz」の練習が行われました。
MAHOさんは、カウントに合わせて、メンバーの1人である隻腕のダンサー・NIKKOさんと2人で、それぞれの動きを確認。
NIKKOさんは、自分の考えた振りつけを、手話やジェスチャーでMAHOさんに教えます。

■“いろんな人が集まった「DIVERz」で一緒に踊ることが楽しい”

MAHOさんはこれまで、音が聞こえないことで自分のダンスは合っているのか、気持ちは伝わっているのか、コミュニケーションに不安を感じるときがありました。でも今は、“いろんな人が集まったこの「DIVERz」で一緒に踊ることが楽しい”と感じています。

MAHOさん
「自分を知ってくれている人が多いから、気持ちが通じる面も多い。みんなかっこいいので自分も負けない気持ちで表現したい」

■「DIVERz」のメンバーが初めて、全員そろったイベント前日

イベント前日。参加する「DIVERz」のメンバーがこの日初めて、全員そろいました。
背骨が左右にわん曲する側彎(わん)症のNaNaKaさんや、振りの一部を考えた聴覚障害がある梶本瑞希さん。
人数が増え、MAHOさんにとってはダンスを合わせるのが難しくなりました。
NaNaKaさんが音楽に合わせて曲のテンポや動くタイミングを伝え、ソロで出るタイミングはNIKKOさんが合図します。

MAHOさん
「みんなでサポートし合うというか、あたたかい感じ。ダンスがみんな好きで、難しい、下手、関係なく楽しめる」

■いよいよイベント当日

イベント当日。カラフルな衣装を身にまとったMAHOさんの姿がありました。

MAHOさん
「お客さんと一つになって楽しんで踊りたいと思います」

「DIVERz」の仲間と舞台へ、自分のダンスを見せるときです。

NaNaKaさんが始まりの合図をし、チームで息の合ったダンスを見せます。TOMOYAさん、NIKKOさん、NaNaKaさん、それぞれのソロパートも。NIKKOさんが合図を出し、MAHOさんもソロでのダンスを披露しました。

■MOHOさん「自分を誇っていいんだ、自信を持っていいんだ」

MAHOさん
「(『DIVERz』に入って)視野も広がったし、自分を誇っていいんだ、自信を持っていいんだって気づけた」

これまでにない気づきがあった貴重な経験になりました。14歳のデフダンサー、MAHOさん。ここが、自分が一番輝ける場所。

(12月5日『news every.』より)

最終更新日:2024年12月8日 20:37
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