“ラーメン王国”山形市 「世帯あたりのラーメン支出額」8年連続日本一からの陥落 1位になったのは…
「年間の1世帯あたりのラーメン支出額」で8年連続で日本一を獲得していた山形市。その“ラーメン王国”を揺るがす事態が起きました。2021年の調査で1位から転落し、有志らによる“首位奪還計画”が始動しました。一方、1位となったのは…。
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濃厚スープが絡みつく極太ちぢれ麺に、とろっとチャーシューが豪快にのったラーメンが味わえるのは、東北の山形市です。実は山形は「人口10万人あたりのラーメン店の数」が日本一といわれている“ラーメン王国”なのです。
極中華蕎麦ひろた山形駅前店 高橋正光店長
「ファストフード的な感覚だと思うので、とにかく麺類が山形県人は好き」
しかし今年、その“王国”を揺るがす事態が起きました。総務省の家計調査によると、2021年「年間の1世帯あたりのラーメン支出額」で、8年連続日本一だった山形市が2位に転落したのです。
この結果は、ラーメン店にとっても――
極中華蕎麦ひろた山形駅前店 高橋正光店長
「ずっと王者でいましたからね。まさかと思っていましたが…」
そこで山形市では、1位返り咲きをめざす“首位奪還計画”が始まっています。
街の中には、「ラーメン手形」と書かれたカプセルトイがありました。出てきたのは、市内にあるラーメン店のキーホルダーです。裏面には、店で何度でも使える「大盛り無料」などの“特典”が書かれているのです。(10月まで期間限定)
このカプセルトイは、市内にある大風印刷のラーメン好き社員が首位奪還のため考案しました。週2~3回ラーメン食べるという、大風印刷営業部の高木龍人マネジャーは「キーホルダーを持って毎日(客が)来るような店舗も出たりしたので、非常に大きな効果があったのかなと思います」と手応えを感じていると話します。
キーホルダーはすでに500個以上売れていて、来月中旬には他の店とコラボした第2弾の制作を企画しているということです。
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山形市も手をこまねいているわけにはいきません。今年、部局の垣根を越える“ラーメン好きによるプロジェクトチーム”を結成しました。
山形市ラーメンプロジェクト事業のメンバーの1人、吉田晃太郎さんは「辛みそ」ラーメンが好きとのことですが、「1位が当たり前になっていたので、ショックを受けています」と動揺を隠せません。
同じくメンバーの1人、羽角僚太さんは「がっつり系」のラーメンが好きとのこと。「食べて、食べて、奪還したいなと。気持ちは強いです」と意気込みを語ります。
そして打ち出した秘策とは――
羽角僚太さん
「新幹線にテロップで流れるようなところがありまして」
山形新幹線の電光掲示板で「麺活でお気に入りのラーメンを見つけてみませんか」と、ラーメンの案内を掲載しました。多くの人に、その魅力を発信していきたいということです。
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一方、2021年に王者・山形市をおさえたのは――「背脂醤油」や「濃厚味噌」など“新潟5大ラーメン”と呼ばれる独自のラーメン文化を持つ、新潟県新潟市。2位から首位に輝きました。
新潟ラーメン店の組合は、喜びもひとしおでした。
新潟拉麺協同組合 安部恭朗代表理事
「新潟の人からしてみれば、ラーメンは外せない。1位になれたことは非常にうれしく思っています」
そして、復権をはかっている山形市については、互いに高め合っていきたいということです。
新潟拉麺協同組合 安部恭朗代表理事
「県も隣同士ですし、ロケーションが非常に似ているんですよ。ライバルというよりも友達みたいな。一緒に盛り上げていくことができたらいいなと思ってます」
その気持ちは、山形市も同じです。
山形市ラーメンプロジェクト事業 羽角僚太さん
「時には戦って、時には手を取り合いながら、頑張っていけたらうれしい」
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日本一をめぐり高め合う“ラーメンの街”。熱い戦いが続きそうです。