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“水面からひょっこり” 絶滅危惧種・オニバスが開花ピーク!アカミミガメの食害対策、種の保全、水路で育成…20年以上続く保護活動「毎年花を咲かせ、種を採取することが大切な役目」

2024年9月9日 0:00
“水面からひょっこり” 絶滅危惧種・オニバスが開花ピーク!アカミミガメの食害対策、種の保全、水路で育成…20年以上続く保護活動「毎年花を咲かせ、種を採取することが大切な役目」

咲いては水の中に沈む、ユニークな開花で人々を楽しませる水生植物「オニバス」が開花のピークを迎えている。

オニバスの開花が見られるのは、岐阜県海津市にある『国営木曽三川公園 アクアワールド水郷パークセンター』。園内の“オニバス池”と呼ばれる場所で育成されている。

通常3~4日間、閉じては開いてを繰り返し、水の中に沈むオニバスの花。大雨などで急に水位が上がった時には、花が水に浸かって咲かなくなることもあるという。

担当者によると、今年は台風10号接近前の8月28日頃までは平均45輪のオニバスの花が開花。台風による大雨の影響による水位の上昇により、9月2日には約25輪の開花が見られたという。昨今の気温の傾向から、9月中旬頃までは安定した開花を予想。オニバスの花は天気や水位、水温などの影響を受けやすいため、早い時間から観賞ができるよう、園内では「オニバスの池」を10時から開放している。

名前の最初に“ハス”とついているが、スイレン科に分類されるオニバス。葉・茎・花にいたるまで“鋭いトゲ”に覆われている見た目が、オニを連想させることから“オニバス”と呼ばれる様になったといわれているそうだ。

葉は水の上に大きく広がり、大きいものだと直径2m近くまで成長。花は水面上で咲き、虫が花粉を運んで受粉する「開放花」と水中にあって開かない種を作る花「閉鎖花」の2種類に分けられるが、出来る種はほぼ「閉鎖花」のものだという。

オニバスは1年草のため、毎年発芽する数は多いが、花を咲かせられるのは“わずか”。花は株の中心に咲き、1つの株の大きさは5mほど。そのため、隣り合った株では、隣の株の大きな葉っぱを突き破って花を咲かせる。

園内に多く育てられているオニバスだが、実は国の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている貴重な植物。オニバス自体は関東~九州に古くから自生している水生植物だが、その多くはため池などの湿地や流れの緩やかで水深があまり深くない場所に自生。絶滅危惧種となった理由として、自生地が開発などによって埋め立てられたり、周辺環境の変化や水質の変化、アカミミガメやスクミリンゴガイなど外来生物の食害などによる、“自生地の減少”が挙げられている。

岐阜県海津市には、昭和40年代初頭まで「堀田」と呼ばれる田んぼが存在。「堀田」とは、湿地の土を掘り上げて田んぼを作り、掘り跡の溝を水路として利用する水田のこと。その水路に自生していたのがオニバスだったそう。

『国営木曽三川公園アクアワールド水郷パークセンター』では、平成9年より「オニバス池」にてオニバスの保全を実施。担当者は「毎年花を咲かせ、種を採取することが大切な役目」と話す。また、園内に作られた「堀田」の水路ではオニバスを育成。昨年と今年は、小さいながらも花が咲いたそうだ。

『国営木曽三川公園アクアワールド水郷パークセンター』にて、20年以上続くオニバスの保護活動。今後の展望について担当者は、「歴史や文化や環境、生き物にふれ、そして絶滅危惧種のオニバスを多くの方に見て知っていただき、未来にもオニバスが残っていけるにはどうしたらよいか考え、自分たちの出来る事を行動していくきっかけのひとつになればと考えています」と語る。

オニバスの開花ピークは9月中旬。9月15日、16日にはスタッフによるガイドも行われる予定だ。

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