“裏金疑惑”…安倍派「内閣から一掃」も
自民党・安倍派のウラ金疑惑をめぐり、岸田首相は、安倍派の政務三役全員を交代させる方向で調整を始めましたが、交代を閣僚と副大臣にとどめる案も浮上するなど、調整が難航しているとの見方も出ています。国会記者会館から前野全範記者の報告です。
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岸田首相は松野官房長官や西村経産相ら安倍派の閣僚だけでなく、副大臣・政務官を加えた政務三役15人をいずれも交代させる方向で調整に入りました。安倍派の政務三役を閣内に残し、今後さらに裏金問題が発覚した場合、政権が持たなくなるとの判断です。
関係者によりますと、11日夜、自らも裏金疑惑の渦中にある松野官房長官が安倍派の政務三役に電話をかけ、自発的に辞任するよう呼びかけているということです。ただ先ほど入った情報では、交代は閣僚と副大臣にとどめるとの案も浮上しています。
――Q.安倍派は一掃ということには安倍派の中にかなり反発があると思いますが、人事をやりきれるのですか?
安倍派の反発に対しては、自民党幹部が「自分たちで問題を起こしておいてどの口で文句を言うのか」と厳しく批判するなど、党内には冷ややかな見方が広がっています。
ただその一方で、岸田首相が踏み切ろうとしている人事については、引き受け手がおらず、難航する可能性もあります。
――Q.岸田首相はこの裏金問題にどのくらい危機感を持っているのでしょうか?
当初、岸田首相は周辺に対しても「特捜部の捜査の行方を見てから判断したい」と、待ち・受け身の姿勢でした。ところが、安倍派の幹部議員に相次いで裏金疑惑が発覚し、捜査の終結を待っていては、政権はおろか自民党自体がもたない状況に追い込まれました。
また、議員が裏金を受け取っていたなら、仮に法的責任が問われなかったとしても、道義的にも政治的にももたないという判断で、「安倍派の排除」に一気にかじを切りました。
――Q.岸田首相は適切な対応と述べていましたが、人事はいつ、どこまでやるのでしょうか?
13日に臨時国会が閉会すると東京地検特捜部が国会議員本人の事情聴取に踏み切るなど捜査は一気に本格化するものとみられます。そのため、岸田首相は週内にも人事を断行したい構えで、ある自民党幹部は「14日にも安倍派の党役員や閣僚に、自発的に辞表を提出させる」と語っています。
ただ、内閣支持率が低迷し、政権の体力もなくなる中、人事をやりきれるメドは立っておらず、対応を一歩間違えば退陣となりかねない綱渡りの状態が続きます。