【ひと目で分かる政治とカネ】企業・団体献金 なぜ?野党は禁止を主張、自民党は反対
鈴江奈々キャスター
「そもそも、各政党の収入源は何があるのか。まず、政治とカネの問題をめぐる今の議論で最大の焦点となっている『企業・団体献金』は、企業や業界団体などが政党に寄付するものです。そして『政党交付金』は、私たちの税金からです。さらには『党員からの党費』や『事業収入』などがあります」
「なぜ、野党は『企業・団体献金』の禁止を強く主張し、一方で自民党は反対しているのか。日本テレビ政治部官邸キャップの平本典昭記者が解説します」
政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「その対立をひも解くカギは、それぞれの政党の収支構造にあります」
平本記者
「2023年の各政党の収入の総額を見ていきます。1位は自民党で226億円。2位は共産党で195億円。3位は公明党で102億円。4位は立憲民主党で80億円などとなっています」
「では、この収入全体の中で企業団体献金が占める割合を見ていきます。自民党は226億円という収入の中で、企業団体献金が占める割合は約10%、金額にすると約23億円です。企業献金の窓口となる政治団体からの寄付額ですが、この数字をどう捉えればいいかは、他の政党と比較すると分かりやすいと思います」
「金額で見ても、次に多いのが立憲民主党で76万円となっています。割合にすると約0.01%、自民党は1000倍になるといえます」
鈴江キャスター
「圧倒的に自民党が多いんですね」
平本記者
「こうした状況からある自民党幹部は『企業団体献金の禁止はイコール自民党がなくなる時』と指摘しています。逆に野党側は『企業団体献金が金権政治の温床となっている』と批判しています」
「ポイントの1つ目は、自民党は、企業団体献金を最も多く得ているので禁止に反対といえそうです」
鈴江キャスター
「自民党が反対している理由は、ほかにも考えられるのでしょうか?」
平本記者
「自民党は『企業団体献金』を狙い撃ちするのは『不公平』だとも主張しています。一体何が不公平か、これも収支構造を見れば、ひと目で分かるといえそうです」
平本記者
「共産党の収入の79%を占めるのが『事業収入』。機関誌『しんぶん赤旗』などの収入です。公明党の収入も58%を占めるのが『事業収入』。機関誌『公明新聞』などの収入です」
「ある自民党幹部は『企業団体献金に手をつけるなら、機関誌の販売も適切に行われるか議論すべき』とけん制しています。さらに、自民党のほかの主張は『企業にも政治活動の自由がある』『企業献金が全て悪で個人献金はよいというのは理屈が通らない』というものです」
「ポイントの2つ目は、企業・団体献金の禁止は“狙い撃ち”でバランスに欠くという、自民党の主張です」
鈴江キャスター
「石破首相は、表現の自由を定めている憲法21条に抵触するという考え方を10日に示しましたが、そこも自民党の考え方と通じる部分と理解していいでしょうか?」
平本記者
「表現の自由に抵触する、企業には政治活動の自由がある、というのもポイントの1つだと思います」
平本記者
「今後は3つの展開が予想されると思います。1番目は、与野党協議がいま対立していますが、妥協点を見つけて合意して、年内に法改正ができるという展開です。2番目は、対立点は先送りして一致できた点だけで合意し法改正すること。そして、3番目は、意見が割れて何も決まらないという展開です」
「少数与党の国会では、3番目の展開となれば与野党ともに厳しく責任が問われます。ぜひとも知恵を出して先送りすることなく、最低ラインは2番目として、できれば展開の1番目を目指して、建設的な議論を進めてほしいと思います」