裏金事件の実態解明は…安倍派の“金庫番”初公判 裁判のポイント
10日に初公判が開かれた松本淳一郎被告は、2019年から、安倍派・清和政策研究会の会計責任者を務めていました。会計責任者は、派閥の収入と支出どちらも管理している、いわゆる“派閥の金庫番”にあたります。派閥のカネの流れを把握している人物です。一連の裏金事件では、安倍派の幹部は全員、立件されませんでした。
政治倫理審査会も開かれましたが、幹部らはいずれもキックバックの仕組み自体への関与を否定していて、誰が主導でキックバックが行われてきたかなど、詳細は解明できていません。そのため、カネの流れを把握している松本被告が今回の裁判を通じて、どのような説明をするのかが重要です。
また、もうひとつのポイントは、キックバックの再開は誰が決めたのかです。キックバックについては、2022年に当時会長だった安倍元総理大臣が一度廃止を決めましたが、その後再開されています。
この再開について、2022年8月に開かれた会合で協議されていて、幹部だった西村氏、世耕氏、下村氏、塩谷氏、そして松本被告の5人が参加していました。
会合で話された内容について、ことし3月、西村氏は「対応を協議したが結論は出なかった」と主張しています。一方で、塩谷氏は「還付(キックバック)をどうするか話し合った」「困っている人がたくさんいるから継続するのはしょうがないな、という話し合いがされた」と話しています。
このように意見が食い違っていて、こちらも詳細が明らかになっていません。会合に参加していた松本被告が再開の経緯について語るのか、注目されます。