ゼレンスキー大統領が「オンライン参加」から「来日」へ その狙いと舞台裏
G7広島サミットが開幕し、各国首脳らが平和記念公園にある原爆資料館を訪問しました。そして、ウクライナのゼレンスキー大統領が、21日サミットに出席することがわかり、広島市民からも平和を願う声が聞かれました。
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ウクライナの首都キーウでは、ロシア軍による攻撃が続いています。
いまだ“平穏”が取り戻せない中、ゼレンスキー大統領が日本を訪れ、「G7広島サミット」に出席することが明らかになりました。
ゼレンスキー大統領
「我々は、今月前半につくりだした国際的なウクライナへの支援や対話の勢いを、今後も維持するのが目標だ」
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19日朝、広島市内の道路に“警察官の壁”が広がりました。広島市は過去に類を見ない厳戒態勢となりました。午前、広島市の平和公園に、バイデン大統領を乗せた車がやってきました。
岸田首相
「グッドモーニング」
岸田首相がアメリカのバイデン大統領らG7の首脳を出迎えました。向かったのは原爆資料館です。史上初めてG7の首脳らによる訪問が行われました。滞在時間は約40分。首脳らは岸田総理から展示内容の説明を受け、被爆者と対話をしたということです。
その後、首脳らは原爆慰霊碑に花を手向け、黙祷を捧げました。
5か月の時に被爆
「いかに悲惨なことになるかを、ちゃんと勉強してもらいたい。核兵器は絶対に使っちゃいけない」
「核兵器が少しでも早くなくなって、世界が平和になればいい」
市民が口にした“平和への願い”。午後2時前、G7首脳らはホテルへ移動し、国際社会が抱える課題について議論しました。
岸田首相
「世界は今、気候危機、パンデミック、ロシアによるウクライナ侵略といった複合的な危機に直面しています」
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こうした中、テーマの1つ「ウクライナ問題」を巡り、19日大きな動きがありました。ゼレンスキー大統領が来日し、広島サミットに出席することが明らかになったのです。この電撃訪問に広島の人は、「ウクライナ問題」解決への期待を寄せていました。
60代男性
「唯一の戦争被爆国であるし、意義が大きいと思いますね」
70代女性
「一日も早く戦争をやめてほしい。“核戦争なんてもってのほか”だっていうことを伝えてほしいです」
中学2年生(13)
「広島であったことを二度と起こさないようにして、みんなが平和で毎日を送れるようにしたらいい」
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21日、「G7広島サミット」に出席する予定のウクライナのゼレンスキー大統領。
いまだロシア軍からの攻撃が続くキーウの人は…
キーウ市民
「復興支援が実現できるなら素晴らしいことです」
「私たちは戦争の中で生活を送っています。必要なのは支援だけです」
「一刻も早く戦争が終結してほしいです」
岸田首相は、今年3月にウクライナを訪問。多くの遺体が見つかった教会で当時の話に耳を傾けました。
そして、ゼレンスキー大統領と初めて直接会談し「G7広島サミット」に招待。ゼレンスキー大統領はオンラインで参加する考えを表明していました。
ただ、水面下では日本訪問を模索。19日になり、移動手段の確保など調整が整ったことでサミット出席が決まったということです。
ウクライナは近く、領土奪還に向けた大規模な反転攻勢に出るとみられていて、その前にG7の首脳らに対して直接、支援の強化を訴える狙いがあるとみられます。
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7か月ほど前、ウクライナから日本・広島へ避難してきた姉妹は、ゼレンスキー大統領の来日を歓迎していました。
姉・ファジレさん
「サミットで演説できる機会を与えられたことを感謝しています」
妹・マリアさん
「オンラインより、はるかにいいです。私たちはとてもうれしく思います」
ゼレンスキー大統領はサミットの場で、世界にむけてロシアを非難し、ウクライナへの支援を訴える見通しです。