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基地移設案の提示見送り、背景を記者が報告

2010年2月17日 18:54
基地移設案の提示見送り、背景を記者が報告

 政府・与党の沖縄基地問題検討委員会は16日、17日に予定していた各党のアメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)移設案提示を見送ることを決めた。一体何が起きたのか、佐藤拓記者が報告する。

 きっかけとなったのは、嘉手納基地(沖縄・嘉手納町など)統合案を主張する国民新党が掲げた「キャンプ・シュワブ陸上案」。日米が合意した辺野古(沖縄・名護市)沿岸ではなく、内陸のキャンプ・シュワブの敷地内に造る計画で、海の埋め立てはなくなる。また、既存のアメリカ軍基地内の工事だけなので、新たな民間の土地を使わなくて済む。

 17日にその予定地を訪れてみると、道路を挟んで住宅が隣接していた。予定地付近の住民たちは「民家と非常に近いから、相当、騒音問題が響いてくるのではないかと」「我々からすれば、基地の県内たらい回しにすぎない」と語った。

 また、17日に国民新党・亀井代表と面会した名護市・稲嶺市長が「名護市民として(国民新党の陸上案は)到底、受け入れられない内容になった」と述べるなど、キャンプ・シュワブ陸上案には、早速、地元から反発が相次いでいる。

 連立を組む社民党も、これにかみつき、“場外乱闘”となった。

 社民党・福島党首「なぜここで陸上案が出てきたのか」

 国民新党・下地政調会長「社民党が国民新党のモノを反対だと言う時期ではない。非常に不愉快な気持ち」

 福島党首「(社民党は)国外・県外移設で一生懸命頑張る。(移設候補地は)グアムやテニアンがある」

 しかし、その社民党も一枚岩ではない。福島党首はグアム移転案を「ベスト」と言い切るが、グアムの知事は「受け入れ困難」とあっさり反対している。一方、阿部政審会長らは、より現実的な長崎県の自衛隊基地などを移設案に加えたい考えだが、地元の反発は大きい。

 5月の決着を目指す沖縄基地問題検討委員会は17日で7回目となったが、連立与党はいまだ現実的な候補地を絞り込めていない。しかし、鳩山首相は「このことによって、5月末の決定には何ら影響は与えない」と述べるなど、なぜか楽観的だ。これに対し、政府内からは強い危機感も上がっている。