【解説】KDDI通信障害で金子総務相「重大事故」…ドコモの教訓は生かされたのか
KDDIの大規模通信障害を受けて、金子総務相が3日午前、緊急会見を開きました。解説を交えながら会見の概要をお伝えします。
■緊急会見…「大変遺憾」「深刻に受け止め」
金子総務相は会見冒頭、KDDIがホームページなどでも十分に説明していない原因について次のように述べ、遺憾の意を示しました。
金子総務相
「通信障害は7月2日午前1時35分ごろから発生、全国で利用困難な状態に。最初にKDDI基幹ネットワーク設備が故障。これにより通信回線を切り替える交換機に輻輳(ふくそう)と呼ばれる“通信の異常な混雑”が発生。ネットワーク全体のダウンに至ったことが原因」
「総務省は、同日午前3時4分に報告を受け、早期・完全復旧に向け全力で取り組むとともに、利用者に対して、きめ細かい情報の周知広報を丁寧に行うことなど要請。事態改善が見られなかったため、総理指示を受け、昨晩から総務省幹部を連絡要員として新宿KDDIビルに派遣し対応に当たらせた。完全復旧までに今しばらく時間がかかる旨、報告を受けている」
「国民生活や社会・経済の重要インフラである携帯電話サービスについて、極めて多くの方々が長時間、利用困難な状態になっていることは大変遺憾だ。特に、コロナや熱中症のリスクが高まっており、かつ台風4号が沖縄県や鹿児島県奄美地方に接近しつつあるタイミングであるにもかかわらず、国民の生命・財産を守るための消防・救急などの緊急通報に支障を生じたことは、総務省として事態を深刻に受け止めている」
■“重大事故”との認識
金子総務相は記者からの質問に対し、今回の通信障害が、「法律で定められた重大な事故」にあたるとの認識を示しました。通信障害が完全復旧する前にもかかわらず、踏み込んだ発言だったといえます。
また、去年、行政処分を受けたNTTドコモの通信障害よりも規模・影響は大きいとの見方を示しました。法律上、行政指導より重い措置には「業務改善命令」があります。
金子総務相
「KDDIや沖縄セルラーからの報告を踏まえれば、電気通信事業法上の重大な事故に該当すると認識。いずれにせよ両社からの書面による正式な報告を受けた上で、同法に基づき、しかるべき必要な対応をしっかりとってまいりたい」
「昨年のドコモの障害と比べて、影響・規模は大きいと思われる」
「総務省からの要請を受け、KDDIでは本日未明ごろから自社ウェブサイト上で、エリアごとの完全復旧の見込み時刻を1時間ごとにお知らせするなど、復旧に向けた具体的な状況の周知に努めており、また本日11時より高橋社長による記者会見を行う予定と承知している。他方、今回の障害発生から復旧までに1日以上を要しており、障害の影響の大きさを踏まえれば、こうした対応が利用者目線で見れば十分ではなかったと考えている」
週末の通信障害発生とはいえ、金子総務相は、KDDIはウェブサイトや広報面での対応が不十分だったと指摘しました。
去年のNTTドコモの通信障害では、こうした対応における反省点も報告書にまとめられ、競争相手であるKDDIにも共有されていました。去年の教訓をKDDIが「他山の石」として生かしきれたかどうかは、今後の検証で明らかになります。