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問責決議可決、与野党対立が一層強まる

2012年4月20日 15:02
問責決議可決、与野党対立が一層強まる

 自民党など野党3党が提出した前田国交相と田中防衛相の問責決議が20日午前、参議院本会議で可決された。問責決議には自民党や公明党など野党全党が賛成した。しかし、野田首相は2人を続投させる考えで、消費税増税法案の審議入りを前に、与野党の対立が一層強まっている。

 自民党・伊達忠一議員「大臣の立場で選挙法違反の事前運動、公的地位を利用した選挙運動は許されないのは明白であります」

 民主党・中村哲治議員「就任半年あまりしかないにもかかわらず、このような顕著な功績をあげている前田大臣は、欠くことのできない国土交通大臣でございます」

 自民党・衛藤晟一議員「田中大臣には防衛大臣としての資質が著しく欠けています。あなたの在任中に取り返しのつかない事態が起こる前に、潔く身を引かれるべきではないか」

 民主党・風間直樹議員「田中大臣の知識や資質に問題はないという点です。(野党側は)あらかじめ大臣の問責を意図し、繰り返し、大臣の過失を演出しているとのそしりを逃れません」

 自民党は、両閣僚が交代しない限り、国会審議には原則応じない構えで、問責可決後の本会議も途中退席した。一方、公明党は、両閣僚が関係する委員会以外は審議に応じる方針で、今後の国会対応で足並みが乱れている。

 背景には自民党と公明党の解散戦略の違いがあり、自民党は問責決議などで野田政権を追い込み、「話し合い解散」も視野に解散・総選挙につなげたい考えだが、公明党は消費税増税法案を早く否決して解散を迫る戦略だ。問責決議をめぐって自民党と公明党との間に生じた溝は、今後の解散をめぐる野党共闘にも影響が出る可能性がある。

 一方、政府・民主党は両閣僚を続投させる方針。

 民主党・輿石幹事長「問責(決議)は、法的拘束力はない。度々こういう手法で閣僚の首をとりに来るという、そういうものに使われることはいかがなものか」

 田中防衛相「全身全霊で職務に励んで参りたいし、防衛相として職責を果たして参る」

 前田国交相「総理からも『しっかり責任を果たすように』とのご指示もあります。国土交通大臣としての責任を果たさせていただきます」

 野田首相は、24日に消費税増税法案などを審議する特別委員会を設置して、今月中に審議入りしたい考えだが、自民党との対立が長引けば、法案の審議にも影響が出かねない。どう課題を解決していくのか、与野党双方に厳しい視線が注がれることになる。