“統一教会”「解散命令」請求どうなる?――初の「質問権」行使へ「年内のできるだけ早いうちに」...文科大臣は積極姿勢
岸田首相が17日、“統一教会”の問題について、宗教法人法に基づく「質問権」を使って報告を求めるよう、永岡文部科学大臣に指示しました。永岡大臣は積極姿勢を見せており、解散命令を請求するかどうかの検討を始めます。調査の流れや懸念を考えます。
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■何ができる?「質問権」使った調査
有働由美子キャスター
「いわゆる“統一教会”をめぐる問題が改めて指摘され始めてから、大きな節目を迎えました。岸田首相が指示した、『質問権』を使っての調査。これが行使されると、史上初めてになります。この質問権による調査では、何ができるのでしょうか」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「まさに解散命令を請求するかどうか判断するための調査です。手続きとしては、まず準備のために専門家会議を開き、質問権の基準などを決めます。その後、同じメンバーで構成する宗教法人審議会で、どんな質問をするかの案を作ります」
「次に、質問案が固まったら調査です。教団側に、文部科学大臣名の書面で質問を送ります。必要に応じて教団への立ち入りも教団が認めれば行います。回答を拒否したりウソの回答をした場合には、罰則にあたる可能性もあります」
「この調査で、教団の違法な行為が確認され、さらに著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたと政府が判断した場合、裁判所に解散命令を請求できます」
■民事裁判、相談...質問権行使の理由
有働キャスター
「これらは厳格に運用されるのですね」
小野委員
「そうです。請求するのも厳格ですが、裁判所がそれを認めることも、なかなかハードルが高いとみられています。ただ、裁判所が妥当だと判断して解散を命じた場合には、“統一教会”は宗教法人格を剥奪され、税制上の優遇も受けられなくなります」
「政府としては“統一教会”が、組織的な不法行為だと認定された民事裁判の例があること、政府の相談窓口に1700件以上の相談があることから、手続きを踏んで調査を行うという立場です」
「教団は『文化庁から明確に指示があるかと思うので、真摯に受け止め誠実に対応する』とコメントしています」
■「思ったような回答がない」想定も
有働キャスター
「調査に向けた準備はすぐにでも始まるのでしょうか」
小野委員
「専門家会議が招集されるのは25日からです。ただ、永岡文科大臣は『年内のできるだけ早いうちに質問権を行使できるよう進める』と述べています」
「さらに『質問手続きの途中でも、解散命令を請求するに足る事実関係を把握したら、速やかに裁判所に請求することを検討する』とまで言い、積極姿勢を強調しています」
「一方、首相周辺は『教団に質問したとしても、思ったような回答が得られないことが想定される。するとまた手続きを踏んで再度質問して、ということを繰り返していかないといけない。相当時間のかかる作業だ』と明かします」
「そして、これまでも度々政治家との癒着などで問題になってきた“統一教会”の関連団体は、調査の対象になりません」
有働キャスター
「やると決めたからにはなるべく早く、形だけの調査で終わらせないでほしいです。同時に、今苦しんでる被害者を救うためにできること、例えば過度な献金を取り戻すための法整備などもしっかり進めてほしいと思います」
(10月17日『news zero』より)