政治家の防災服なぜ? #みんなのギモン
■“チグハグな印象”も
今、首相官邸のホームページを開くと、トップは能登半島地震対応についてのページになり、防災服姿の岸田首相や閣僚らの写真が並んでいます。発災以降、官邸では連日のように非常災害対策本部会議が開催され、出席した閣僚らは皆、防災服を着ています。
1月5日に国会内で行われた与野党の党首会談でも6党党首全員が防災服に身を包んでいました。
そして同じ5日、都内で行われた新年の互礼会で挨拶に立った岸田首相の防災服の胸元には大きな赤い花がつけられていて、花は来賓を意味するものとはいえチグハグな印象だとの指摘もあがりました。
大きな災害が起きる度に、被災地の知事だけでなく大臣らも防災服で記者会見などを行う姿を目にします。被災地の現場に行くのであれば動きやすく丈夫な防災服を着るのはわかりますが、情報収集や的確な指示を出す立場の政治家が東京で防災服を着ていることを皆さんはどう感じているのでしょうか。SNSでは・・・。
「とってつけたように見える」「作業着は作業をするときに着るものだ」「パフォーマンスだ」「現場主義をアピールしているだけでは」といった声の一方、「有事の際には防災服を着れるようにするのは悪くない」「スーツ着て出てきても、緊張感ないとか批判するでしょ」「今は非常時だと視覚的に国全体にアピールする有効な手段だ」との声が寄せられています。
■東日本大震災では「危機感の象徴」に
2011年3月の東日本大震災では、当時の菅直人首相はじめ閣僚全員が3週間、防災服を常時着用し、4月1日に「復興に向けて歩みを進める段階に入った」として防災担当相と経済産業相などを除いてスーツ姿に戻りました。
また、同じ年の4月に行われた東京都知事選の選挙期間中、現職の石原慎太郎知事は一貫して防災服姿で避難所を訪れたり首相官邸に直談判に赴いたりするなど、非常時に防災服で動き回る姿を印象づけました。そして4選を果たし、初登庁でも防災服を着て記者会見しました。防災服は危機感の象徴にもなってきました。
その後の2017年、衆議院では全議員への防災服貸与が小委員会で議題になっていました。衆議院事務局の担当者がこう答弁しています。
「議員が被災地を視察、訪問する際に、貸し出し方式では緊急に必要な場合に間に合わずサイズが合わないこともあり不便だとの指摘がある」
「議員が防災服を着て被災地を視察、訪問することは、被災された方々の不安を取り除くことにもなる」
このように国会議員への防災服貸与は被災地への訪問用に考えられていましたが、使用目的については「議員活動の一環として幅広く利用していただくことを想定している」とされていました。
今、衆参両院のすべての議員に防災服の上下と安全靴、帽子などのワンセットが用意され、貸与されています。
能登半島地震の発生後、音喜多駿参院議員は政治家が防災服を着ることについてブログでこう綴りました。
「実際に防災服を着ていれば、政治家自身も気持ちが引き締まって被災地のことが頭から離れなくなりますし、会合に行くときやメディアに出演する際も防災服を着ていることで、周囲の人たちに『被災地のことを忘れてはいけないな、被災地のことも考えないとな』という意識が広がっていくという効果もあります。遠方で政治家が防災服を着ることにも意味があるのではないかと現時点で私は感じています」
26日からは通常国会が始まります。政治家の方々の防災服が"形だけ"ではなく、"心から被災者のことを考えてのものだ"と思えるような議論を期待したいです。
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