【能登半島地震】発生3週間、なお断水の「和倉温泉」再開は? 温泉復旧は4月以降か 旅館の専務「奥能登の家を失った人を思うと…」「必ず再生を」
藤井貴彦キャスター
「七尾市の和倉温泉にある旅館『はまづる』で働いていらっしゃる、専務の高城一博さんにリモートでうかがいます。いまだに断水が続いていると聞いていますが、旅館は当時どのような状況だったのでしょうか?」
高城さん
「地震発生当時は一度目に小さめ、といっても震度5くらいあったと思いますが、その後に大きな地震が来ました。お客様の避難を最優先に、なんとか無事に送り届けたいという気持ちで館内を走り回りました」
藤井キャスター
「宿泊客の皆さんはどのような状態で避難をされたのでしょうか?」
高城さん
「もう、着の身着のままの方もいらっしゃいましたし、旅館は5階建てですが、5階には車いすのお客様もいらっしゃいました。災害時はエレベーターが使えず、5階から1階まで一生懸命下ろすなど、とても大変な思いをしました」
藤井キャスター
「エレベーターが使えず、全従業員で、皆さんで力を合わせて車いすの方を移動させたということです」
藤井キャスター
「和倉温泉は七尾市の中央に位置し、約1200年前に開湯したといわれる歴史があります。地震の前は訪れる観光客の約8割が石川県外からだったといいます。全部で22の旅館があり、営業再開のめどが立っているところはまだないということです」
「高城さんが働く旅館も厳しい状況なのか、営業再開についてどうお考えでしょうか?」
高城さん
「今のところ営業再開は厳しいのですが、なんとか復旧させて、また温かい温泉を届けたいなという気持ちで頑張っています」
藤井キャスター
「温泉は今、配管の状況などを確認されていると思いますが、今後温泉が通るようになるまでどれくらいかかりそうでしょうか?」
高城さん
「何日かかるか分からないのですが、生活用水、県水が4月くらいまで来ないという情報があるので、たとえ温泉が来たとしても、和倉温泉は塩水なので、洗い流すのにどうしても水が必要です。温泉が早く出ても4月以降になると思います」
陣内貴美子キャスター
「建物自体を見るととても被害が大きいように見えます。建て直しの必要はあるのでしょうか?」
高城さん
「22日に軽く館内を建設関係の方に見ていただきましたが、一応建物は真っすぐ立っているということでした。建物と建物のつなぎ目は、地震の揺れを逃がすために少し開かせてあると聞いて、(まだ使える)見込みがあるのではないかと聞いて少しほっとしています」
藤井キャスター
「いまだに広い地域で断水が続いているということですが、水道の復旧時期を石川県が21日に発表しました。和倉温泉がある七尾市の和倉地区は 4月以降になる見込みです。この発表をどう受け止めていますか?」
高城さん
「これから先、奥能登の復旧に向かう工事関係者の方に、使えるお部屋に泊まっていただいています。トイレの水は湧き水を毎日汲んでいます。それが大変な状況です」
藤井キャスター
「水の問題が一番大きいですか?」
高城さん
「そうですね。水の問題と建物の問題ですね」
藤井キャスター
「地震から3週間たち、まだ3週間なのか、もう3週間なのか人それぞれだと思いますが、被災地の観光にまでは全然回っていないと思います。観光地で働いていらっしゃる身として訴えていきたいことは何でしょうか?」
高城さん
「もちろん支援はお願いしたいのですが、私の心としては奥能登の家を失った人たちのことを考えると、(自分たちは)後になっても仕方ないのかなとは思っています」
「しかし和倉温泉自体も、時間はかかっても必ず再生したいなという気持ちでみんな頑張っていますので、その時まで待っていただきたいという気持ちです」
藤井キャスター
「今回私も石川県で取材していますが、能登半島全体が復旧・復興しなければ私たちは喜べないんだ』という方が多くいらっしゃいました。高城さんもそんな思いでしょうか?」
高城さん
「本当にそういう気持ちでいっぱいです」
藤井キャスター
「新型コロナウイルスでも大変な思いをされ、今回の地震で追い打ちをかけられるような状況になりました。今のお気持ちを教えていただけますか?」
高城さん
「確かにいろんなことがありましたが、能登の人っていうのは我慢強いと思いますし、必ず立ち上がると信じております」
藤井キャスター
「私たちが何ができるか分かりませんが、我慢して訴えないということではなく、ぜひ訴えも続けていただきたいと思っています」
(1月22日『news every.』より)