補佐官“発言”で紛糾 野党「更迭すべき」
28日から始まった参議院の特別委員会での安全保障関連法案の審議で、民主党・福山議員は安倍首相の側近の発言について追及した。
民主党・福山哲郎参院議員「礒崎首相補佐官が不届きな発言をしました」
首相補佐官の礒崎陽輔議員は、26日の講演で安保関連法案について「法的安定性は関係ない」「我が国を守るために必要な措置であるかどうかということを気にしないといけない」などと発言した。
法的安定性とは、憲法や法律の解釈をむやみに変えないこと。法律の解釈をむやみに変えてしまうと国民はそのルールを理解できず、社会の混乱をうむ可能性があるとされる。
政府は、集団的自衛権を行使できるよう憲法解釈の変更をしても、「法的安定性」は保たれていると説明してきた。しかし、礒崎首相補佐官の発言はその「法的安定性」にはこだわらないと取られかねないものだったのだ。
与党からも苦言が…。
公明党・山口代表「総理や政府の足を引っ張ることにならないように心がけていただきたい」
自民党は28日朝、各党に対し、磯崎補佐官から「心から反省しおわびします」と陳謝があったと説明した。しかし、民主党は納得しない。
民主党・福山議員「総理、こんなけしからん、法的安定性をどうでもいいと思うような補佐官は更迭すべきだと思いますよ」
安倍首相「礒崎補佐官の発言は平和安全法制(安全保障関連法案)を議論していく上で、憲法との関係とともに我が国を取り巻く安全保障環境の変化を、十分に踏まえる必要があるとの認識を示した発言と承知しています。法的安定性を確保することはもとより当然のことで、私も従来から申し上げている通りでして、そこに疑念を持たれるような発言は慎まなければならない」
参院審議の冒頭から、政府・与党は「防戦」に追われている。一方、与党の質疑時間は中国の脅威がメーンテーマとなった。
自民党・佐藤正久参院議員「尖閣諸島には領海侵犯、領空侵犯、海上自衛隊の護衛艦へのレーダー照射、東シナ海の防空識別圏の一方的な設定、あるいはここにあるような東シナ海におけるガス田、1年の間に倍増するようなこのような大きな海洋ステーション、海洋基地のようなものが乱立している。これは日本の沖縄の目の前です。九州の目の前です」
これは、中国が東シナ海に建設を進めているガス田の関連施設の写真。政府が先週、公表したもの。東シナ海のガス田をめぐっては2008年に日中両政府が共同開発することなどで合意していたが、ここ数年、中国側は独自に新たな拠点の建設を進めている。中谷防衛相は、こうしたガス田の関連施設が軍事利用される可能性を指摘する。
中谷防衛相「レーダー配備の可能性、ヘリパッド(発着場)をヘリ等の展開のために利用する可能性が考えられる」
安倍首相「こうした力による現状変更は行うことはできないんだということを、相手方に理解させつつ、平和的な発展をお互いに進めていくことが重要ではないか。日米同盟が揺るぎないものであるということを内外に示していくことによって、この海域も含めて我が国の平和と安全を守り抜いていくことができる」
以上