NHK2番組「重大な放送倫理違反」BPO
NHKの報道番組で不適切な演出があった問題で、BPO(=放送倫理・番組向上機構)が6日午後、「重大な放送倫理違反」があったとする報告書を発表した。
会見で、ある委員は問題の番組の実情について、「裏付けもなしに、安易なものが、安直なものが放送に至ってしまった」と残念そうに語った。
去年5月14日に放送されたNHKの「クローズアップ現代」など2番組では、新手の詐欺のブローカー役として登場した男性が、その後、NHK記者から演じるよう求められていたと告発した。
これを受け、BPOの放送倫理検証委員会が半年ほどかけ審議を行い、6日、報告書を発表したもの。2番組について報告書では、「視聴者に著しい誤解を与える致命的な問題があった」「記者の取材姿勢はまことに安易だった」などと指摘。隠し撮り風に撮影し、ボカシを入れたことも、「演出の範囲を著しく逸脱した」、「番組の狙いを強調する余り、事実を歪曲(わいきょく)した」などとして、重大な放送倫理違反があったと断じた。
放送倫理検証委員会・川端委員長「委員会としては、この場面については、重大な放送倫理違反があるという結論に達しました」「視聴者の信頼を裏切るというレベルの倫理違反だということで、『重大な』という形容を使いました」
この報告書について、NHKは、「指摘を真摯(しんし)に受け止め、信頼される番組作りにあたっていきます」などとするコメントを出した。
一方で、NHKが自主的に問題を是正しようとしているにも関わらず、高市総務相が行政指導をしたことについて、BPOは、「放送法が保障する『自律』を侵害する行為そのもの」などと厳しく批判したほか、また、自民党がNHKの経営幹部を呼び、説明をさせたことについても、「放送の自由と自律に対する政権党の圧力そのもの。厳しく非難されるべきだ」としている。