NHKクロ現「重大な放送倫理違反」BPO
NHKの報道番組で不適切な演出があった問題で、BPO(=放送倫理・番組向上機構)は「重大な放送倫理違反」があったとする報告書を発表した。
この問題は、去年放送された「クローズアップ現代」など2つの番組で、新手の詐欺のブローカー役として登場した男性が、その後NHK記者から演じるよう求められていたと告発したもの。
これを受け、BPOの放送倫理検証委員会が半年ほど審議を行い、報告書を発表した。報告書は「視聴者に著しい誤解を与える致命的な問題があった」「記者の取材姿勢はまことに安易だった」などと指摘。隠し撮り風に撮影し、ボカシを入れたことも「演出の範囲を著しく逸脱した」「番組の狙いを強調する余り、事実を歪曲(わいきょく)した」などとして、重大な放送倫理違反があったと断じた。
放送倫理検証委員会・川端委員長「委員会としては、この場面については、重大な放送倫理違反があるという結論に達しました。視聴者の信頼を裏切るというレベルの倫理違反だということで、『重大な』という形容を使いました」
報告書についてNHKは、「指摘を真摯(しんし)に受け止め、信頼される番組作りにあたっていく」としているが、番組を打ち切るかどうかは、「答えられる段階にない」と述べている。
一方で、NHKが自主的に問題を是正しようとしているにもかかわらず、高市総務相が行政指導をしたことについて、BPOの報告書は「放送法が保障する『自律』を侵害する行為そのもの」などと厳しく批判した。
また、自民党がNHKの経営幹部から事情を聞いた点についても、「政権党の圧力そのもの。厳しく非難されるべきだ」としている。
高市総務相「行政指導について、いきすぎたとも拙速だとも思っていません。(NHKにどういう体制で改革するのか)そういう要請をすることが、決して間違ったことだとは思っていません」
高市総務相は、BPOからの指摘に対しこのように述べ、NHKへの行政指導は、放送法を所管する立場から必要な対応を行ったものだとの認識を示した。