南シナ海問題…ASEAN首脳は?記者解説
ASEAN(=東南アジア諸国連合)の首脳会議の日程が日本時間6日午後、ラオスで始まった。南シナ海の問題についてはどのような議論になるのか、現地から富田徹記者が解説する。
実はASEAN各国の足並みが乱れていて、中国をけん制する強いメッセージを打ち出せるか危ぶまれている状況。ASEAN各国の首脳が取りまとめを目指す議長声明案では中国の行動に対して「深刻な懸念」を示すのみで、中国が一番嫌がっている仲裁裁判所の判決には一切、触れない見通し。これはASEANの中でも中国と経済的に結びつきが強い国があり、一致して強い姿勢を示せないためだ。
安倍首相は7日のASEANとの会議で、巡視船の提供など海上警備能力の強化に向けた支援の継続を表明する方針。また、8日に開かれる中国やアメリカなども加えた東アジア首脳会議ではアメリカなどと共に中国に仲裁裁判所の判決を尊重するよう迫る考え。
やはり日本にとって南シナ海の問題は尖閣諸島を含む東シナ海の問題と密接に関わっていて非常に重要だ。政府内には南シナ海の仲裁裁判所の判決が尖閣諸島周辺の領海侵入の引き金になったとの見方がある。つまり中国は、この判決で弱腰になったと見られないように、日本にも圧力をかけているという分析。
安倍首相としては尖閣諸島周辺での挑発行為を封じ込めるためにも南シナ海問題で毅然(きぜん)とした行動をとり続ける考え。