プーチン大統領 特別インタビュー全文10
北方領土問題などについて話し合う安倍首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談が15日から始まる。会談を前に、プーチン大統領は、日本テレビと読売新聞の取材に応じた。(10/20)
■8項目の経済協力は平和条約締結の一番の条件?
――大統領はこの8項目の経済協力プランについて、平和条約締結のための唯一の正しい道だと述べた。この8項目の経済協力プランは今その平和条約締結の条件としては、最も重要だと考えているのか。
■「中国とは40年間交渉した“特別な戦略的パートナー”」
ご存じの通り、これは条件ではありません。これは、必要な雰囲気づくりです。我々は中国と、中国の友人たちと、国境問題について40年交渉してきました。40年です! 露中関係でも、国境問題がありました。しかし、我々はいまでは、露中関係を戦略的パートナーシップへと位置づけています。しかも、特別な戦略的パートナーシップです。ロシアには、中国との間で、これほどの信頼関係はかつてありませんでした。
中国は、国別でいえば、我々の経済・貿易面での最大のパートナーです。我々は、大規模で巨額の共同プロジェクトをいくつも実現しています。我々は、国連の安全保障理事会で協力しているだけではありません。協力しているのは中国とロシアが常任理事国なので当然ですが、それ以外にも上海協力機構や、いまやグローバルな連合体の新興国のBRICsでも協力しています。現在、旧ソ連圏で我々が創設したユーラシア経済同盟について話し合いをしています。我々は、ベトナムと結んだような自由貿易協定を中国と結ぶために協議しています。
■「中国とは国境画定問題を解決 友好関係が無ければ妥協不可能」
その後は、中国の「一帯一路」構想と、我々が創設した地域機構とをつなげる用意があります。つまり、露中関係がこの20年で、いかに多様で多面的になったか理解できると思います。我々は、国境問題も解決しました。そのことは、なんら大きな問題を引き起こしませんでした。なんらかの問題があったかと言えば、中国にもロシアにも、ありませんでした。もっとも、我々は、互いの譲歩、妥協に踏み出しました。これは友好国の間の妥協です。こういった妥協は、友好関係がなければ事実上不可能だと思います。安倍首相の提案は、私の考えでは、我々の目指す目標を達成するおそらく唯一の道です。
――中国との国境画定について、大統領は中国とは深い信頼関係にあるが、日本との間にはまだその域には達していないと述べた。
■「我々に経済制裁を科した日本は“同盟”から自由になれるのか」
たったいま答えたばかりで、あなたはもうご存じのはずです。中国との貿易額が最も大きく、通商関係もどんどん自由化しています。ところが、日本は我々に対して経済制裁を課しました。あなた方は、この違いが分かるのでしょうか、分からないのでしょうか。ウクライナやシリアの問題を、なぜ日本は、露日関係に結びつけるのでしょうか。ということは、日本には同盟関係上の何らかの義務があり、我々はそのことを尊重するのはやぶさかではないですが、我々は日本がどのくらい自由で、日本がどこまで踏み出す用意があるのか理解しなければなりません。それを明らかにすることが必要です。これは二次的な問題ではありません。
平和条約署名という最終合意のために、なにを両国間の基礎とするかによって、結果はちがってきます。これが、現在の露日関係と露中関係の違いです。なにも比較しようとしているのではありません。ただ、あなた方が何について話しているか聞き直されたので、こう答えたのです。問題は、信頼の雰囲気を作り出すということです。