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どうなる“退位”の国会議論 記者解説

2017年1月24日 18:54
どうなる“退位”の国会議論 記者解説

 天皇陛下の“退位”について、これから国会での議論が本格化するが、与野党で意見の隔たりがある。日本テレビ・原聡子記者が解説する。


――与野党の意見の隔たりとは具体的にいうと?

 違いは一言で言うと“一代限り”か“恒久化”かという点になる。政府は、現在の天皇陛下一代に限って、「特例」として退位を可能にしたい考えだ。一方、民進党や共産党、社民党などの野党は、将来のすべての天皇を対象に退位が可能になるよう「制度を作る」べきだとしている。


――なぜ、それぞれがこうした主張をしているのか?

 政府が退位を一代限りとしたい主な理由は、特例の法律を作ることで速やかに準備ができること。退位の実現に向け議論がこじれることを避けたい本音がある。一方、民進党など野党は、一代限りとする事は「天皇陛下の思いから離れてしまう」などとして反対している。

 また、憲法には“皇位の継承は「皇室典範」により定める”とあるため、民進党は、皇室典範そのものの改正が必要だと主張している。

 意見が真っ向から食い違う背景には、もう一つ理由がある。民進党は皇室典範の改正に踏み切り、あわせて女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設などについても議論をするべきだとの思惑がある。

 一方、政府としては皇室のあり方そのものに議論が発展する事は避けたい考えだ。政府高官も「国家の根幹を揺るがすことになる」と警戒している。


――こういった意見の隔たりを今後どう調整するのか?

 与野党ともに政争の具にはしたくない考えがある。というのも、天皇の地位は、憲法で「国民の総意に基づく」ものだと規定されている。そのため退位の問題を巡っても、全党で一致することが望ましいとされている。

 今後、政府の議論と並行し、国会でも衆参議長の下で協議が行われるが、どのように意見をまとめるのか。国民の代表として真摯な議論が求められる。