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“経済”批判なく、今後の日米関係の鍵は…

2017年2月11日 8:54

 アメリカ・ワシントンを訪れている安倍首相はトランプ大統領と大統領就任後、初めて会談した。この中で両首脳は、自由で公正な貿易のルールに基づいて経済関係を強化する方針で一致した。注目されていた経済問題について、トランプ大統領から批判はなかった。安倍首相に同行取材している加藤聡記者が伝える。

■経済問題について

 首脳会談で注目されていた経済問題について、「対立を避けて協力をアピール」した形。トランプ大統領はこれまで、貿易や為替をめぐって日本を名指しで批判してきたが、会談や記者会見でそういった発言はなかった。

 一方で安倍首相は、日本の自動車メーカーが現地生産を増やすことでアメリカで雇用を生み出してきたことなどに触れながら、日米の経済関係はウィンウィンだと強調した。その上で、麻生副総理とペンス副大統領をトップとする経済対話の新たな枠組みを立ち上げることで合意した。

 日米両国は経済協力を進める方向性では一致できたので、今後はそれが日本企業や国民に負担をかけることがないのか。具体的な中身が問われることになる。

■安全保障について

 もうひとつの焦点である安全保障についてトランプ大統領は、沖縄の尖閣諸島は日米安保の適用対象であると表明した。日本としては、トランプ大統領から引き出したかった言質を得ることができた。

 中国が領有権を主張する沖縄県の尖閣諸島について、日米安全保障条約第5条、つまりアメリカによる日本の防衛義務の適用範囲内だということをトランプ大統領との間でも確認できた。

 またトランプ大統領は在日アメリカ軍の駐留経費には言及せず、さらに会見で「米軍を駐留させてくれることに感謝する」と述べた。駐留経費の負担増を求められるのではないかという日本側の懸念は、ひとまず払拭された形。

 一方、日本が日米同盟における役割をさらに拡大することで合意しているので、今後、日本がどのような役割を果たしていくのか具体策がポイントとなる。

 この後、トランプ大統領の別荘があるアメリカ・フロリダ州で、夕食会やゴルフなどが予定されている。両首脳が一連の日程をこなす中で個人的な信頼関係をどこまで深めていくことができるかが、今後の日米関係を左右する鍵となる。