見つめ合い…ハグ・握手 蜜月アピール
アメリカを訪れている安倍首相は、トランプ大統領と日本時間の11日未明、大統領就任後、初めて会談した。トランプ大統領は貿易や為替をめぐる日本批判は避け、日米の経済関係を強化していく方針を強調した。
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ホワイトハウスに到着した安倍首相。玄関で待ち構えていたトランプ大統領は、歓迎のハグ。さらにがっちりと握手し、お互いの手を重ねて…再びハグ。
さらに首脳会談の冒頭では-。
記者「こちらお願いします」
記者団は2人のカメラ目線を要求していたが…。
トランプ大統領「彼らは何だって?」
安倍首相「プリーズ・ルック・アット・ミー(私を見て)」
素直にじっと安倍首相を見つめるトランプ大統領だった。
■経済問題
トランプ大統領(先月31日)「日本が長年何をしてきたか見てほしい。日本や中国は為替を操作して、通貨安に誘導しているのです」
先月は日本を批判していたトランプ大統領だが、今回は一転、批判を封印。日米の経済関係を強化していく方針を強調した。
トランプ大統領「経済問題に関しては、貿易関係を追究し、自由で公正で双方を潤す関係を求めていきたいと思います」
安倍首相「日米の経済関係を一層深化させる方策について、分野横断的な対話を行うことで合意いたしました」
共同声明では、日米2国間の貿易協定も含めて議論することも盛り込まれた。そして為替の問題についてトランプ大統領は、一般論として、「貿易で公正に競争していくには為替の公正さが必要だ」と述べるにとどめた。
■安全保障
安全保障の分野については-。
トランプ大統領「日本とその施政権の及ぶすべての地域の安全保障に貢献し、重要な同盟関係を深めていきます。航行の自由を確保するとともに、北朝鮮のミサイル攻撃や核の脅威から防衛を続けていかなければなりません」
安倍首相「安全保障環境が厳しさを増す中にあって、尖閣諸島が安保条約第5条の対象であることを確認しました」
両首脳は日米同盟を強化していく方針でも一致し、沖縄の尖閣諸島がアメリカによる防衛義務の範囲内であることも確認。また、トランプ大統領は、懸念されていた駐留米軍の経費負担については言及せず、「我々の軍を駐留させてくれていることに感謝を申し上げたいと思う」と述べた。
トランプ大統領の側近も-。
コンウェイ大統領顧問「すばらしい会談でした。(日米関係にとって)きょうは大きな進歩でした」
■中国との関係
安倍首相はこの蜜月ぶりを世界にアピールして、中国や北朝鮮をけん制することも大きな狙い。しかし、トランプ大統領は、共同会見でこんな発言もしていた。
トランプ大統領「きのう、中国の習近平国家主席ととてもよい電話会談ができた。現在は中国と良好な関係を構築する過程にあり、それは日本にも大きな利益になるでしょう」
トランプ大統領は、日本との同盟関係の強化が中国を封じ込めるものではないとのメッセージを示したとの見方もある。
会見後、トランプ大統領の別荘があるフロリダ州へ大統領専用ヘリコプターで一緒に移動。中で撮影された2ショット写真を、トランプ大統領がツイッターに投稿した。
この蜜月ぶりを中国はどう見ているのだろうか。中国中央テレビは、「安倍首相はトランプ大統領との関係に自信がない」などと批判。また、中国共産党の機関紙傘下の「環球時報」は、安倍首相を「成果を急ぐビジネスマンのようだ」と皮肉交じりに報じた。
両首脳は、ゴルフや夕食会でさらに親交を深める方針。