日米首脳会談 中国にらみ…台湾問題など「緊密に連携」で一致 日本の“常任理事国入り”支持表明も
大統領就任後、初めてアジアを訪問しているアメリカのバイデン大統領が23日、岸田首相との首脳会談を行いました。中国をにらみ、同盟国などとの連携を強めるのが狙いで、バイデン大統領からは台湾有事を巡り、踏み込んだ発言も飛び出しました。
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23日午前、皇居の周辺にはひとだかりができていました。なかには望遠レンズをつけたカメラを持つ人たちも。「バイデン大統領の車列を撮りにきました」と話します。
警察による厳重な警備がしかれるなか、バイデン大統領は分厚い防弾ガラスなどを備え、ビースト(=野獣)と呼ばれる大統領専用車両で皇居に向かい、出迎えられた天皇陛下に笑顔であいさつしました。2人は皇太子・副大統領の頃から面識があり、とてもなごやかな雰囲気で会話されていたということです。
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午前11時すぎからは、迎賓館で日米首脳会談が始まりました。去年1月の就任以来、初めてとなるバイデン大統領の日本訪問ですが、1番の目的は「中国への対応」です。会談ではロシアによるウクライナ侵攻に毅然(きぜん)として対応することを再確認した上で、台湾問題など中国を巡る様々な課題に、日米で緊密に連携していくことで一致しました。
岸田首相
「中国については、東シナ海や南シナ海における力を背景とした現状変更の試みに、強く反対すること」
アメリカ バイデン大統領
「台湾の平和と安定に引き続き関与します。一方的な現状変更はできないのです」
今回、韓国・日本を訪問したバイデン大統領ですが、中国は訪れません。これは近年になかったことで、オバマ氏やトランプ氏は就任後、初めて日本を訪問した際、中国も訪問し、首脳外交を行っています。中国を訪問しない背景には、バイデン政権が中国を「最大のライバル」と位置づけ対抗姿勢を強めていることがあるとみられます。
バイデン大統領は、会見のなかで、中国への対抗を目的とした新たな経済連携の枠組みIPEF(=インド太平洋経済枠組み)を立ち上げると発表しました。
記者から「中国による台湾有事が起きたとき、軍事的に関与するか」と尋ねられると――
アメリカ バイデン大統領
「関与します」
記者
「そうなんですか」
アメリカ バイデン大統領
「それが我々の責務だ」
台湾有事の際は軍事的に関与する考えを示した発言ですが、ホワイトハウスは会見直後に「一つの中国政策に変更はない」などとの声明を出し、軌道修正しています。
バイデン大統領の発言について、23日、会見を行った中国外務省は「強烈な不満と断固とした反対を表明する」と強く反発しています。
首脳会談では、日米同盟による抑止力をすぐに強化する必要があることも再確認されました。
岸田首相
「私からは日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏づけとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し、バイデン大統領からは、これに対する強い支持をいただきました」
また、岸田首相は防衛のありかたについて、相手の領域内でミサイルの発射を阻止する、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除しないと、バイデン大統領に伝えたということです。
岸田首相
「バイデン大統領から改革された安保理において、日本が常任理事国になることを支持するとの表明がありました」
両首脳は日米同盟を“国際社会の平和の基盤”と位置づけました。
岸田首相は、来年、日本で行われるG7サミット(=主要7か国首脳会議)を広島で開催する方針を伝え、バイデン大統領から支持を得たと明らかにしています。