松野官房長官 午前会見(6月7日)電力需給厳しく…節電、省エネ呼びかけ
松野官房長官は7日午前の会見で、「今年の夏と冬は、非常に厳しい電力需給の見通しだ」と述べた上で、この夏に向けて、全国でできる限りの節電や省エネに取り組むことを呼びかけました。
<会見トピックス>
▽電力需給
▽スポーツベッティング
▽ロシアへの追加制裁
▽黒田総裁発言
▽円安
▽北朝鮮核実験
▽かりゆし閣議
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。一般案件等15件、法律の公布、政令、人事が決定をされました。大臣発言として、牧島大臣から、デジタル社会の形成に関する重点計画、情報システム整備計画、官民データ活用推進基本計画の変更について。若宮大臣から、消費者白書について。法務大臣から、令和3年度人権教育及び人権啓発策について。経済産業大臣から、令和3年度エネルギーに関する年次報告について。環境大臣から、令和4年度版環境白書、循環型社会白書、生物多様性白書について。総務大臣から家計調査結果について、それぞれご発言がありました。
次に、先ほど電力需給に関する検討会合を5年ぶりに開催し、2022年度の電力需給に関する総合対策を決定いたしました。今年の夏と冬は非常に厳しい電力需給の見通しであります。
これを踏まえ供給対策として、あらゆる対策を検討し講じていくとともに、需要対策として、この夏に向けては全国でできる限りの節電、省エネに取り組むこと。電力需給が、より厳しくなると想定される冬に向けては、夏以上の需要対策の準備を進めていくこと、などを決定をいたしました。節電の数値目標がない節電の協力のお願いは2015年度の冬以来7年ぶりとなります。私からは以上です。
――今ほどご紹介がありました電力需給ひっ迫の関係閣僚会議についてお伺いします。会議は5年ぶりの開催で企業や家庭にも対応を呼びかけましたが、具体的に政府としてどのような形での対応を国民に求めることになるのか、お伺いします。
○松野官房長官
関係閣僚会合の概要は、冒頭申し上げた通りであります。今年の夏と冬は非常に厳しい電力需給の見通しです。
この夏については、国民生活や経済活動に支障がないよう、一律の節電の数値目標は定めませんが、ご家庭や業種ごとの事情を踏まえて、例えば使用していない部屋や廊下の照明を消す、店舗の照明を間引く、冷蔵庫に食品を詰め込みすぎず、設定を強から中に下げるなどできる限りの節電、省エネにご協力をいただきたいと思います。
――節電要請に関連して、まずは政府の電力安定供給の責任を果たすべきだとの反発も出ていますが、国民にどう理解を求めていく考えでしょうか。
○松野官房長官
電力の安定供給は国民生活及び経済活動の基盤であり、休止火力の再稼働や非化石電源の最大限の活用などを供給面であらゆる対策を講じていく考えであります。他方、供給力には限りがあり、短期的な拡大は困難であるため需要面での対策も必要となります。国民の皆さまには、現状と対策及び今後の見通しを丁寧に説明しつつ、ご理解を求めていきたいと考えております。
――先ほど長官の説明の中で夏に関しては数値目標は設けないという話でした。より厳しくなる冬に関しては具体的な数値目標を設けることもあり得るのでしょうか。
○松野官房長官
先ほど申し上げた通りでございますけれども、この冬に向けては、この夏の対策の検証や電力需給をめぐるその時点での最新の状況を踏まえて、需要供給の両面で具体的な対策を進めていきたいと考えている。
――いわゆるスポーツベッティングについて伺います。経済産業省の、スポーツの試合結果やプレー内容を賭けの対象とするスポーツベッティングの解禁に向けた素案が判明しました。野球やサッカー、バスケと想定され、経産省やスポーツ庁は7月にもスポーツベッティング解禁に向けた議論を本格化させる見通し。八百長やギャンブル依存を招きかねないとして反対論も強くあるが、スポーツベッティングがもたらす効果や意義についてどのように考えるか、政府見解を伺います。
また特別法によって現在は競馬や競輪、サッカーなどのスポーツ競技が例外的に認められているが、合法化の範囲を現在より広げることについてどのように考えるか。
○松野官房長官
現在、経済産業省では、スポーツについて研究会を開催をしていますが、いずれの研究会においても、スポーツべッティングの解禁案を提示する予定はないと報告を受けています。従って具体的になんら検討が行われていない中で仮定に基づく質問に対してコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
――ロシアへの追加制裁について伺います。今日の閣議でロシアの銀行を資産凍結の対象に加えることなどを了解したと承知をしています。今回の措置の狙いと今後の対応について伺います。
○松野官房長官
ロシアはウクライナ東部等に戦力を集中し支配の拡大を目指し、ウクライナ側と激しい戦闘を続けていると承知をしています。今までに国連事務総長やいくつかの国が仲介努力を行ってきましたが、プーチン大統領はさまざまな対外発信の機会にウクライナ侵略を重ねて正当化しており、自らの強硬な立場を和らげ、歩み寄ろうとする兆しは見せていません。
このような状況の中、ロシアに一刻も早く侵略をやめさせ対話への道筋を作るには、国際社会が結束して強力な対露制裁措置を講じ、ロシアに侵略されているウクライナを支援していくことが必要であります。こうした考えのもと、今回わが国として新たにSWIFTからの排除が決定されたロシアの2銀行及びベラルーシの1銀行への資産凍結、並びにロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置を行うこととし、本日必要な閣議了解を行ったものであります。
今後の制裁措置については引き続きわが国として、今後の状況を踏まえつつ、G7をはじめとする国際社会と連携して適切に取り組んでまいりたいと考えております。
――日銀黒田総裁の発言について。黒田総裁は6日の講演で、商品価格の引き上げが相次いでいることを背景に、価格の値上げ許容度も高まっていると述べました。食料の価格高騰に苦しむ家庭が多く、発言を疑問視する声がありますが、政府としての受け止めを。
○松野官房長官
黒田総裁の発言の一つ一つについて政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。足元の物価については、ウクライナ情勢等に伴う原油価格や物価の高騰がマインドの悪化や実質購買力の低下を通じて民間消費や企業活動を下押しするなど景気の下振れリスクには十分注意をする必要があると考えています。
こうした影響に緊急かつ機動的に対応するため、ガソリン価格や小麦価格等の国内価格等の上昇を抑制するとともに、生活困窮者や低所得者支援を後押しするなど、真に困窮されている方々にきめ細かく支援を行うなど総合緊急対策にも盛り込まれた各政策を国民の皆さまに迅速にお届けしてまいりたいと考えております。
――円安について。6日のニューヨーク外国為替市場で円相場が一時、1ドル132円台まで下落しました。約20年ぶりの水準で円安傾向が続いているが、家計や日本経済への影響をどうみているか。
○松野官房長官
相場の水準等についてコメントすることは控えさせていただきたいと思いますが為替の安定は重要であり、急速な変動は望ましくないと考えております。一般論として申し上げれば円安により輸出や海外展開をしている企業の収益は改善をする一方、輸入価格の上昇を通じて企業や消費者に負担増となり得ると承知しています。
このように円安は経済に対してプラス面マイナス面双方でさまざまな影響を与えるため日本経済全体に及ぼす影響について一概に申し上げることは困難でありますが、政府としては為替市場の動向や日本経済への影響を緊張感をもって注視をしてまいりたいと考えております。
――北朝鮮の核実験の兆候について。IAEAのグロッシ事務局長は定例理事会で北朝鮮・豊渓里の核実験場で坑道の一つが開けられたことなどを指摘し、核実験に向けた準備の可能性があると懸念を表明しました。
記者会見でも、豊渓里のこの傾向について、過去の実験の活動と一致しているとも指摘しています。IAEAの指摘についての見解は。
○松野官房長官
6月6日、IAEAの理事会にラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長が豊渓里の核実験場において、おそらく核実験の準備のため坑道の一つが再び開かれた形跡が確認された旨発言したと承知をしております。政府としては北朝鮮の軍事動向について必要な情報収集、分析を行ってきており、今後北朝鮮が核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性があるものと考えております。
北朝鮮による核・ミサイル開発は、わが国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。政府としては引き続き必要な情報の収集分析及び警戒監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携をしていく考えであります。
――今、日米、日米韓の連携について言及があったが、先ほど、アメリカの国務省のプライス報道官が北朝鮮の核実験について「今後数日の内に7回目の核実験を試みるかもしれない」と懸念と警戒感を高めていると表明。この点について日米の連携状況は。
○松野官房長官
日米においては日頃から緊密に連絡を取り合っていますけれども、ご指摘の点について私の方から、コメントは差し控えたいと思います。
――かりゆし閣議について。今日は総理や長官をはじめ閣僚らがかりゆしウエアを着て閣議に臨んでいた。岸田政権で初めてだと思うが、着心地とかりゆし閣議の狙いについて
○松野官房長官
かしゆりウエアについては前回も申し上げましたけれども着心地もよくまた涼しいので夏を快適に過ごすには適した服装だと考えています。
クールビズの実施に際し、閣議において閣僚全員がそろってかりゆしウエアを着用することで国民の方々にかりゆしウエアのよさやクールビズにも使えることを知っていただく一つのきっかけになるとともに、沖縄の県産品の普及促進にもつながることを期待しているところであります。