【全文】「消費者物価指数」の上昇 松野官房長官「賃上げの実現を」(12/23午前)
松野官房長官は、23日午前の会見で、11月の消費者物価指数が上昇したことについて「人への投資の強化などを促進し、賃上げを実現して参りたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽消費者物価指数の上昇
▽北朝鮮の武器輸出
▽薗浦前衆院議員
▽新型コロナのワクチン接種の体制整備について
▽ゼロコロナ政策緩和後の在留邦人への影響
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。一般案件等7件。政令、人事が決定されました。大臣発言として、岡田大臣からデジタル田園都市国家構想総合戦略について。総務大臣から消費者物価指数について。経済産業大臣から独立行政法人の長の人事について。岸田総理大臣から海外出張不在中の臨時代理等について、それぞれご発言がありました。次に本日の閣議前に原子力関係閣僚会議と、最終処分関係閣僚会議を開催しました。原子力関係閣僚会議においては、今後の高速炉開発の在り方を明確にするための戦略ロードマップの改定、高速増殖原型炉もんじゅの廃止処置の取り組み状況報告を行いました。また、昨日のGX実行会議等での議論を踏まえた今後の原子力政策の方向性と行動指針の案について、今後パブリックコメントを実施して国民の皆さんからご意見を頂くことと致しました。次に、最終処分関係閣僚会議においては、昨日のGX実行会議における岸田総理のご発言を受け、出席する閣僚を拡充した上で高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現に向けて、経済産業大臣を中心に関係大臣が連携して具体的な対応方針を取りまとめるよう指示しました。いずれも後ほど関係省庁で説明があると聞いておりますので、詳細はそちらでお聞きを下さい。私からは以上です。
――消費者物価指数について伺います。先月の前年同月比の上昇率は、40年11ヶ月ぶりの水準となりました。実質賃金はマイナスが続いておりますけれども、今の物価水準についての認識、賃上げを含め、どのような対策を講じていくか伺います。
○松野官房長官
本日公表された11月の消費者物価指数は、総合で前年同月比+3.8%、生鮮食品を除く総合で前年同月比+3.7%となりました。内訳をみると原材料価格の上昇や円安の影響により光熱費や食料品など日常生活に密着した品目で値上げが続いており、物価上昇から国民の生活を守るとともに物価上昇に負けない賃上げを後押しする必要があると認識をしています。政府としては物価高に対して累次にわたる対策を講じてきたところであり、さらに先般の総合経済対策と補正予算で盛り込んだ施策を迅速かつ着実に実行していきます。具体的には電気・ガス料金等の上昇に対する負担緩和策について1月の仕様分から値下げを開始するとともに中小企業への支援の拡充や価格転化対策の強化に取り組みさらに人への投資の抜本的強化や労働移動の円滑化を促進し、構造的賃上げを実現して参りたいと考えております。
――北朝鮮による武器輸出に関して伺います。アメリカ政府は22日北朝鮮がロシアによるウクライナ侵攻に部隊を派遣している民間軍事会社ワグネルに武器を売却したことを確認したと発表しました。アメリカ政府は北朝鮮の武器輸出を禁じた国連安保理決議に違反したとして、安保理で協議する方針ですが、政府としての受け止め、今後の対応について伺います。
○松野官房長官
米国政府の発表は承知しています。米国とは本件について、意思疎通を行ってきています。米国とのやりとりの詳細を申し上げることは、外交上のやりとりであり、差し控えたいと思いますが、仮にそのような取引が行われているとすれば、北朝鮮からの武器および関連物資の調達を全面的に禁止している関連安保理決議に違反するものであります。いずれにせよ、我が国としては、引き続き関連情報の収集分析を行うとともに、関連の安保理決議の完全な履行に向けて国際社会と緊密に連携していく考えであります。
――薗浦前衆院議員の事務所が政治資金パーティーの収入を少なく記載していた問題で東京地検は昨日、秘書とともに薗浦氏を政治資金規正法違反の罪で略式起訴しました。受け止めと、薗浦氏はこの間、自身で説明してきていませんが、政治家としての説明責任についてのご所見をお願いします。
○松野官房長官
ご指摘の事案について検察当局は、昨日薗浦元衆院議員ら3名を政治資金規正法違反の事実により、東京簡易裁判所に略式命令請求したものと承知をしています。個別事件における検察当局の事件処理について政府として所感を述べることは差し控えさせていただきます。また政治活動に関わる事柄については、本人が自らの責任において適切に説明することが重要であると考えており、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきます。
――新型コロナのワクチン接種について。岸田総理が9月に1日あたり100万回接種の体制整備の目標を打ち出して以降、長官は先日の会見で11月26日に100万回を超えたとお答えになりました。その後のワクチン接種状況についてお尋ねします。また、一昨日21日には約4カ月ぶりに新規感染者が全国で20万人を上回り、増加傾向が続いています。これから年末を迎えさらに増えていく恐れもありますが、政府としてどう感染拡大防止に取り組むのか、方針をお尋ねします。
○松野官房長官
昨日公表時点で1日当たりの最多の接種回数は11月26日の約104万回であります。この日を含めて11月下旬以降、100万回を超えた日数は4日に増えており接種が進んでいると考えています。また、全人口に対するオミクロン株対応ワクチンの接種率は32%であり、現時点で公表されている最新のG7各国の接種率を比較すると日本が最も高くなっています。新型コロナについては、全国的には増加傾向にあり病床使用率も上昇傾向にあります。冬場は救急医療も含め、例年医療提供体制に負荷がかかる時期であり、加えて年末年始は医療機関の診療体制が通常とは異なります。このため重症化リスクの低い方については抗原検査キットによる自己検査や健康フォローアップセンターの活用を重ねてお願いしたいと思います。政府としては自治体等の関係者と連携し、年末年始を含む保健医療体制の確保やワクチン接種の促進に引き続き取り組んでいく考えであります。国民の皆様におかれても適切なマスクの着脱、手指消毒、換気など基本的な感染対策の徹底をお願いをいたします。
――WHOが21日に中国で新型コロナウイルスの新たな感染の波が広がり、病院の満床に近づいているとの見方をしめしています。中国の統計方法では新型ウイルスによる死者がゼロの日もありますが、実際にはより大きな影響が出ているとみられています。またゼロコロナ政策による厳しい移動制限と、度重なるロックダウンは消費と生産を阻害してきたわけですが、今回のですね規制緩和に伴う感染の急拡大で、企業活動への影響が加速する事態となっています。加えまして、中国国内から薬不足が深刻化し、日本の風邪薬の買い占めの動きも出ておりますけれども、ゼロコロナ政策緩和後の在留邦人や日本企業への影響について教えてください。
また今回の緩和で死者が増加しているのであるという見方がある中、在留邦人の死亡が確認された件数がありましたら教えてください。
○松野官房長官
中国における新型コロナの感染状況については、政府としても鋭意情報収集しており、在留邦人を含む市民生活や日系企業の活動、また中国経済に与える影響について注視しています。その中で、政府としては、在中国大使館および、総領事館を通じて、在留邦人や日系企業と緊密に連絡を取り合い、実態の把握に取り組みつつ、個別の相談に応じるなど、在留邦人の支援に尽力しています。これまでに、直前の検査結果が、新型コロナウイルス陽性で死亡した邦人が1名いると承知しています。亡くなられた方の所属企業を通じた家族との連絡等、邦人保護の観点から、必要かつ、できる限りの支援を行っています。引き続き具体的状況を踏まえながら、中国側とのやりとりを含め、邦人保護および日本企業の活動支援に万全を期していきます。