自民大勝 安倍元首相“弔い選挙”影響か…「野党乱立」も後押し
10日に行われた参議院選挙で、自民党・公明党の与党はあわせて76議席を獲得し、勝利しました。今回の選挙結果の背景と今後への影響について、国会記者会館から高柳裕美記者の報告です。
今回の自民党大勝を受け、岸田首相の求心力は高まるとみられています。今後は公約の物価高対策などで具体的な成果が求められることになります。
今回は岸田内閣の高い支持率を背景に自民党が終始優勢な戦いを進めてきました。「聞く力」をアピールした岸田首相の政治姿勢に一定の期待感が寄せられたと言えそうです。
また、与野党からは安倍元首相が襲われて亡くなったことも少なからず影響が出たとの見方が大勢です。
自民党の幹部らは喪章をつけて演説に臨み、いわゆる弔い選挙を展開しました。この事件が無党派層や保守層の票を一定数、上乗せする結果になったとの指摘も出ています。
さらに、自民党大勝を後押ししたのが「野党の乱立」です。野党は一致して消費税の減税などを訴えましたが、今後も連携できないことは確実で、期待感を高めることができなかったと言えます。
立憲民主党の泉代表は10日夜、代表の辞任を否定しましたが、早速、ベテラン議員からは「常識的には11日にも辞任だと思う。本人が辞任しないと言ってもいろいろな人が黙っていない」との声があがっています。
岸田首相は今後、早急に物価高対策で成果が求められます。また、防衛費増額については、選挙戦では「額ありきではない」と述べていました。増額を強く求めていた安倍元首相が亡くなったことで、岸田首相がどのようにリーダーシップを発揮し、具体的な金額や財源をどこまで示せるか手腕が問われることになります。