【全文】エリザベス女王の国葬参列「しかるべく検討」 官房長官会見(9/12午前)
松野官房長官は12日午前の会見で、イギリスのエリザベス女王の国葬への天皇陛下や岸田首相の参列について問われ、「現時点では何ら決まっていない。適切な形で弔意を示す為、しかるべく検討していく」と述べるにとどめました。
<会見トピックス>
▽沖縄県知事選
▽エリザベス女王国葬
▽水際緩和
▽国葬招待状
▽世論調査
▽ザポリージャ原発
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
私から冒頭発言はありません。
――昨日行われた、沖縄県知事選挙について。
現職の玉城氏が2回目の当選を果たした。
政府としての受け止めを。
また米軍普天間飛行場の辺野古への移設を巡って、玉城知事は引き続き反対を訴えて勝利した。
一方で基地のある宜野湾市長選で2回目の当選を果たした松川市長は、「何としても返還の道筋を立てたい」と強調。
政府の立場に変わりはないか、改めて伺う。
○松野官房長官
沖縄県知事選挙の結果は、沖縄県が抱える様々な課題を巡る、県民のご判断であると認識をしており、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で申し上げれば普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点は、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険といわれる普天間飛行場の危険性の除去と返還であります。
普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。
これは地元の皆さまとの共通認識だと思います。
日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考えあわせたとき辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することに繋がると考えております。
政府としては、今後とも丁寧な説明を行い地元の皆さまのご理解を得る努力を続けながら普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、そして基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでいく考えであります。
また、沖縄県の経済振興についても、引き続き重要な課題であると認識をしており、強い沖縄経済の実現に向け、政府としてしっかりと振興策を推進してまいりたいと考えております。
――関連。
きのう、沖縄県議補選も行われたが、玉城知事と同様に、辺野古新基地建設反対を掲げる候補が当選をして、県政、県議会として、知事与党が過半数を維持。
先ほど、長官は普天間飛行場の一日も早い危険性の除去を、と言ったが、完成まで10年以上かかるとされている。
政府として、工事を中断して、新たな代替策等を考える考えがあるか。
○松野官房長官
まず、県議選も先ほど申し上げました通り、沖縄県が抱える様々な議題をめぐる県民のご判断であるかと思いますので、政府としてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
そしてご質問の飛行場に関する件に関しましては先ほど申し上げた通りであります。
――関連で。
改めてになるが、日本の安全保障にとって沖縄に駐留する米軍の役割、重要性についての見解を。
○松野官房長官
沖縄南西諸島のほぼ中央にあり、さらには我が国のシーレーンにも近いなど安全保障上極めて重要な位置にあります。
特に南西諸島防衛の観点からは、沖縄は他では代替できない地理的優位性を有していると考えています。
我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、政府としては安全保障上極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは日米同盟の抑止力の重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものと認識をしております。
――沖縄知事選について。
辺野古移設など安全保障政策を決定する場合、一般論として地方が示す直近の民意か、それとも防衛や外交を踏まえた政府判断のどちらを重視するのがより望ましいと考えるか。
また、南西諸島の防衛を強化する南西シフトについて、玉城知事は慎重な姿勢ものぞかせている。
今後の計画に何らかの影響があるか。
○松野官房長官
我が国の安全保障に責任を有する政府としては、我が国の防衛政策を進めるに当たり、国民の皆さまのご理解とご支援が不可欠であり、このような観点から地方自治体をはじめ、国民の皆さまに広くご議論をいただき、さまざまなご意見をいただきながら政策を進めていくことは重要なことであると考えています。
その上で申し上げれば、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて工事を着実に進めていくことこそが、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することに繋がるとの考えに変わりはありません。
今後とも地元の皆さんのご理解を得る努力を続けながら沖縄の基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
南西諸島の防衛に関するご質問をいただきました。
我が国周辺には、強大な軍事力を有する国家などが集中をし、軍事力を強化し、軍事活動を活発化させるなど、我が国が直面する安全保障上の課題が深刻化する中、南西地域の防衛体制の強化は我が国の防衛にとって喫緊の課題であります。
平素から安全保障環境に即した部隊配置を行うため、これまで、与那国島、奄美大島及び宮古島への部隊配備を行ってきたほか、本年度中に石垣島にも、部隊配備を行う予定であります。
このような部隊配置は我が国への攻撃を抑止する効果を高めるものであり警戒監視活動等に万全を期すとともに、地元のご理解をいただきつつ、引き続き南西諸島における防衛体制を目に見える形で強化をしていく考えであります。
――今回の知事選では、普天間飛行場では辺野古移設が争点になった。
反対派の玉城知事が当選し、翁長前知事、玉城知事を含め、三度、反対派が当選したことになる。
この点を踏まえてどうか。
それと今回の知事選で、馬毛島への米軍の訓練移転を掲げ、普天間飛行場の危険性除去を訴えた候補もいた。
今後従来の辺野古移設推進以外を検討する余地はあるか。
○松野官房長官
先ほど、申し上げた通り日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であると考えております。
――イギリスエリザベス女王の葬儀について伺う。
今月19日にロンドンで行われると発表され、アメリカのバイデン大統領などが参列することになった。
日本政府、宮内庁としての対応、天皇陛下が参列されたり、岸田総理やその特使が参列する可能性について伺う。
○松野官房長官
英国エリザベス2世女王陛下の崩御に関し、日本政府として改めて心から哀悼の意を表したいと思います。
10日、英国王室が現地時間19日に国葬を執り行う旨、公表したと承知をしていますが、我が国政府としての対応は現時点では何ら決まっていません。
いずれにせよ、英国王室史上最長となる70年にわたり、世界の平和と繁栄のために極めて大きな役割を果たされてきたエリザベス2世女王陛下の国葬において、適切な形で弔意を示すためしかるべく検討をしていく考えであります。
――水際緩和について。
木原官房副長官はきのうテレビ番組で「入国者数の上限の撤廃、個人旅行、ビザ免除を一体的に仕組みを見直す」とし、時期については「そう遠からずやらなければいけない」と発言した。
安倍元総理の国葬に合わせて海外要人が多数来日するが、そのタイミングでの緩和も含めて検討しているのか、現在の検討状況は。
○松野官房長官
ご質問の入国者総数の上限や外国人観光客の入国制限、査証免除の扱いを含め、今後の水際対策について、感染拡大防止と社会経済活動のバランスをとりながら緩和を進めていくという基本的な考え方に変わりはなく今後も内外の感染状況やニーズ、主要国の水際措置の状況等を踏まえながら適切に判断をしていく考えであります。
――安倍元総理の国葬の案内状について。
9月27日に行われる安倍元総理の国葬儀の案内状が現職国会議員や元職の国会議員に届いてることがSNSの投稿で分かっている。
実施概要の参列者には現・元国会議員と記載されているが、これは全ての議員経験者を対象に招待してるということか。
また最大6000人規模の国葬儀に対してどのくらいの数の案内状を送付しているのか。
○松野官房長官
安倍元総理の国葬儀については、先週より順次案内状を送付しているところであります。
案内状の送付先は、先例を参照しつつ検討し、8月31日に葬儀実行幹事会で決定をしました。
具体的には、現元三権の長、現元国会議員、海外の要人、立法・行政・司法関係者、地方公共団体代表、各界代表等であります。
案内状の日付については事務作業の都合上、修正もあったかと聞いています。
――弊社(朝日新聞)の世論調査の結果について。
先週末の調査で内閣支持率は41%で前回8月の47%から続落し、不支持率は前回39%から47%、半数近くに増え、初めて不支持が支持を上回った。
この受け止めを。
○松野官房長官
世論調査の数字に一喜一憂はしませんが、一般論として申し上げれば、世論調査に表れた国民の皆さまの声を真摯に受けとめ、政府としての対応に生かしていくことが、重要であると考えています。
引き続き国民の声を丁寧にお聞きをしながら、内外の諸課題に取り組んでまいりたいと考えております。
――関連。
安倍元首相の国葬への賛否は賛成が38%、反対が56%と前回調査から賛成が減って反対が増えた。
国葬に関する岸田首相の説明についても「納得できない」が64%で「納得できる」の23%と大差がついており、支持率の引き下げ要因になっていることがうかがえる。
旧統一教会の問題や国葬への対応についても「評価しない」という声が多いが、この問題についてさらなる措置を取る必要性について伺う。
○松野官房長官
国葬儀については、先週の議院運営委員会においても、総理と私から国葬儀を執り行うこととした理由や意義、海外要人の出席予定、現時点での経費の見込みなどについて丁寧に説明を行ったところであります。
今後とも国民の理解が得られるよう、様々な場を通じて、内閣の考え方につき丁寧に説明を尽くしていきたいと考えています。
旧統一教会については、政府としては旧統一教会との関係について総理から各閣僚等に対しそれぞれ点検し、厳正に見直すことを指示をしています。
また霊感商法等の被害者への対応に万全を期すため旧統一教会問題相談集中強化期間として関係省庁が連携して、相談対応を行っているほか、消費者庁に霊感商法等の悪質商法への対策検討会を設置しており、政府を挙げて被害者の救済に取り組んでいく考えであります。
――IAEAのグロッシ事務局長が9日に、ロシア軍が占拠するザポリージャ原発に関し、原子炉の安定に必要な外部電源が失われていると述べ、復旧も困難だと発言した。
唯一稼働し、原発全体に必要な電力を供給している6号機が外部電源の確保が困難なため、運転停止の検討が始まっている。
そうしますと、非常用ディーゼル発電機20基で現状の原子炉を冷却することになるが、発電機の燃料は10日分しかなく、戦闘の影響で追加調達の見通しも立っていない状況。
原子炉の冷却が停止すれば約90分でメルトダウンが始まると指摘されているが、ザポリージャ原発の現状はどうなっているのか。
○松野官房長官
11日の国際原子力機関の発表によれば、ウクライナのザポリージャ原発への予備電力線が復旧され、原子炉の冷却その他安全機能に必要な外部電力が原発に再び提供されているものと承知をしています。
また、国際原子力機関IAEAによれば、予備電力線の復旧により、同日、6基の原子炉のうち、最後に稼働していた1基の原子炉の停止を可能にしたと承知をしております。
グロッシIAEA事務局長はこうした一連の進展を歓迎した上で攻撃の危険にさらされているザポリージャ原発の状況について重大な懸念を改めて表明したと承知をしております。
いずれにせよロシアによる原発の占拠を含めロシアの一連の行為は決して許されない暴挙であります。
東電福島第一原子力発電所事故を経験した我が国として、強く非難します。
ロシアに対しこのような蛮行を即座に停止するように求めています。