「ポスト菅」は誰?菅新総裁 今後の焦点は
安倍総理大臣の後任を決める自民党総裁選挙の投開票が14日行われ、菅官房長官が新しい総裁に決まりました。総裁が決まり、既に焦点は人事の話になっています。
菅さんは党の総裁として、党の役員人事と、総理大臣として閣僚の人事、両方決めないといけません。菅さんがどのような人事をするのか、ポイントは“派閥”です。
■2位は岸田政調会長
今回の総裁選は、国会議員票393票と地方票141票、合わせて534票で争われました。
(※国会議員票は394票のはずが、1票が無効票だったため)
菅さんは議員票288票、地方票89票、計377票
岸田さんは議員票79票、地方票10票、計89票
石破さんは議員票26票、地方票42票、計68票
菅さんは国会議員票も地方票も圧倒的勝利となりました。
焦点の2位は、岸田さんとなりました。岸田さんは派閥の人数は石破さんより多いため、それでも石破さんに負けるとこの先の影響力が弱まる可能性がありました。岸田さんにとっては、一安心というところです。
菅さんは、喜びを次のように語っています。
「新型コロナウイルスが拡大をするというまさに国難にあって、政治の空白は許されません。この危機を乗り越えて国民の皆さん1人1人が安心をして、安定をした生活をすることができるように。そのためには、安倍総理が進めてきた取り組みを継承し、進めていかなければなりません」
■「ポスト菅」官房長官の人事は?
総裁が決まり、既に焦点は人事の話になっています。
菅さんは党の総裁として、党の役員人事と、総理大臣として閣僚の人事、両方決めないといけません。菅さんがどのような人事をするのか、ポイントは“派閥”です。
菅さんは無派閥で「脱派閥」を掲げていますが、今回の総裁選は二階派をはじめ、主要な派閥の後押しを受けて国会議員票でも圧勝しました。 そのため、派閥を意識した、いわゆる「派閥均衡型」人事、つまり派閥の意向をくんでポストを選ぶ形にするのか。 または、議員票で7割以上、地方票で6割以上をとり安定基盤ですので、派閥を気にせず自分の意向を適材適所で選ぶのか。
閣僚人事ですが、特に官房長官は誰になるか。こちらの3人が注目されています。
・萩生田光一 文部科学大臣
・加藤勝信 厚生労働大臣
・梶山弘志 経済産業大臣
萩生田さんは細田派、加藤さんは竹下派です。菅さんは「安倍政権の継承」ということで、2人はいずれも官房副長官を経験していて、妥当だという声があります。
さらに自民党関係者は、加藤さんだと派閥内でのポスト争いもありそうなので「一番、収まりがいいのは萩生田さん」との声もあります。
菅さんは、梶山さんの父親で亡くなった梶山静六元官房長官を「政治の師」と仰いでいます。息子の梶山さんとも近い関係で、政府関係者は「菅さんが誰よりも信頼している人物が梶山さん」と言っています。 14日、菅さんは官房長官としての最後の会見でも、梶山静六さんの言葉を引用していました。
菅さんは「脱派閥」を掲げていますが、派閥の意向を無視すると波風が立つため、どこまで推薦を受け入れるか、ということがポイントになります。あまり派閥を重視すると「脱派閥」と言っていたにもかかわらず、時代が逆戻りしたのでは…というイメージになる恐れもあります。
菅さんは次の官房長官について「総合的な仕事ができる人がいい」と答えています。自身が長く官房長官していてどのような資質が必要か分かっているだけに、誰を選ぶのかが注目されます。
■解散総選挙、どうなる?
解散総選挙を早期に行うかどうかも関心事です。
菅さんは12日、「解散権は新総理が持っていますから、新総理の判断だと思います」と話しました。国民が今望んでいるのはコロナ対策と経済再生だとしていますが、総理になってどう判断するのか。
そのような中、麻生副総理は13日に気になる発言をしました。
「1年以内に衆議院の選挙が確実に行われます。下手したらすぐかもしれない。国民の審判を問われていない内閣じゃないかとか、いろいろたたかれるのは目に見えているんだから、“だったら”という感じがしないでもない」
麻生さんは、「選挙はタイミングが大事で、新しい内閣が国民の審判を受けていないと批判されるのであれば、早めに解散総選挙をすることもありえる」としているのです。
では、国民はどう思っているのでしょうか。
NNNと読売新聞が9月4日~6日に行った世論調査では、解散総選挙は「今年中に行うのがいい」が16%、「2021年前半がいい」が20%、「任期満了まで行う必要はない」が55%でした。
国民の多くは、すぐにやる必要はないと思っている人が多いということです。
そして、消費税の増税はあるかどうか。
菅さんは「安倍総理がかつて、今後10年くらいあげる必要はないと発言していて、私も同じ考え」と話したのですが、「将来までは否定しない」としています。
安倍政権では2014年に5→8%、2019年に8%→10%に2回増税してきましたが、これをどう判断するのかも注目です。
■今後の日程は?
今後の日程を整理します。14日、菅新総裁が誕生しました。
幹事長や政調会長など党の役員人事は15日決まると見られています。 16日には臨時国会を召集し、総理大臣の指名選挙が行われ、ここで菅新総理が誕生。この日に組閣し、新内閣が発足する予定です。
さらにその先、11月にはアメリカ大統領選や、2021年には東京オリンピック・パラリンピック、9月には総裁の任期を迎えます。
(2020年9月14日 16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)