×

緊急事態宣言延長・追加へ 来月12日まで

2021年8月17日 18:14
緊急事態宣言延長・追加へ 来月12日まで

政府は、東京・大阪などに発出している「緊急事態宣言」を来月12日まで延長し、さらに、20日からは、兵庫や福岡などを追加する方針を固めました。17日夜、正式決定することにしています。しかし、専門家からはさらに厳しい措置を求める声も上がりました。詳しくお伝えします。

    ◇

今、宣言が出されているのは、東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・沖縄の6都府県です。期限は今月末まででしたが、来月12日まで延長されることに。そして20日には「まん延防止等重点措置」だった、茨城・栃木・群馬・静岡・兵庫・京都・福岡の7府県が宣言に追加されます。

また、まん延防止にも新たに、宮城・富山・山梨・岐阜・三重・岡山・広島・香川・愛媛・鹿児島の10県が追加される方針です。期限は同じく来月12日までです。

■深刻な“感染者数急増”と“病床使用率”

現在、新型コロナウイルスの感染者数急増と病床使用率が深刻です。政府の「病床使用率の指標(15日時点)」をみてみると、今、宣言が出されている6都府県では、『全体』『重症用』ともに、“爆発的感染拡大”をあらわす『ステージ4(50%以上)』がほとんどとなっています。

特に、神奈川県はひっ迫していて、『重症用』病床の使用率が100%でした。実際の状況を17日、県に聞いてみたところ「現在、225の重症病床のうち、202の病床が埋まっている状況。今までにない厳しい状態が続いている」ということでした。「医療機関には病床の拡充をお願いしているが、病床を増やすことは簡単ではない」と担当者は話していました。

そして、20日から追加される7府県も「病床全体の使用率」は『ステージ4』。茨城・栃木・群馬・京都では、東京よりも使用率が高くなっています。さらに、京都は『重症用』病床の使用率も『ステージ4』になるなど、この7府県の医療提供体制は、かなりひっ迫しているのが分かります。

宣言が追加される自治体の知事らは16日、次のように話していました。

群馬・山本知事「第5波はこれまでと感染拡大のスピードが桁違い」

栃木・福田知事「感染収束の兆しが見えない中、療養者数は過去最多、病床がひっ迫した状況が続いている」

もう「宣言を出してほしい」と悲鳴のような要請が相次いでいました。

■政府が示した『新たな対策案』とは…

感染状況もこの1か月でかなり悪化しています。新規陽性者数については、政府の指標で『ステージ4(爆発的感染拡大)』の基準は「10万人あたり25人」となっています。

1か月前は『ステージ4』だったところは、東京・神奈川・沖縄の3か所のみでしたが、16日までの1週間では、47都道府県中、38都道府県に急増しています。東京・沖縄は基準の10倍近く、もしくはそれ以上で、東京が約215人、沖縄が約287人と、200人を超えています。

17日午後、専門家に意見を聞く会議を終えた西村経済再生相は「まさになんとしても今、医療提供体制を整えると同時に、感染をおさえていかないといけない。その危機的な状況に総力を挙げて対応していく」と話しました。国民と強い危機感を共有し、対策を強化していくということですが、その案がこちらです。

<新たな対策案>

◇検査
 保健所の判断を待たず、陽性者の家族などへの検査を進める

◇人流抑制
 対象地域の住民に対し、混雑した場所への外出半減を強力に呼びかける
 出勤者数の7割削減を目指す

◇デパ地下や大規模商業施設など
 入場整理は法律に基づき知事の判断で要請するよう求める

◇医療
 酸素濃縮装置などの確保を進める

自宅療養や宿泊療養する人が増え、その最中に亡くなる方もいて問題となっています。今一度、最初の緊急事態宣言の発出時に自分がどのような行動をとっていたか、感染対策をしていたかを思い出し、気を引き締めなければならない状況です。

■「必要なところに必要な対策をするのが『菅スタイル』」

会議に出た専門家からも、さらに厳しい措置を求める声が上がっています。新型コロナ対策分科会・尾身茂会長は「個人の協力にお願いするというだけではなかなか乗り越えられないことを想定して、この法的な仕組みの構築、あるいは現行の法律のしっかりした運用についても早急に検討してほしいという強い意見がでました」と話しました。

専門家からは「ロックダウンや今後、個人の行動を制限できるよう法改正を進めるべき」との声が上がったといいます。また、「全国一律での緊急事態宣言」を求める意見もでたということです。

これだけ感染が拡大している中、全国的に宣言を出す必要が本当になかったのか。

ある政府関係者は「まとめて出すと楽は楽。でも、かなり実害がある。地方の飲食店街でも閑散としたところは感染拡大の原因にはならない。そこも閉めろというのは酷だ」と話し、また、別の政府関係者は「必要なところに必要な対策をするのが『菅スタイル』ですから」と話していました。自治体独自でできることを行い、経済的ダメージを最小限におさえることを重視しているということです。

    ◇

17日夜、菅首相が会見します。政府関係者から「菅スタイル」という言葉がでていましたが、終わりのみえない宣言を繰り返して流行を抑え込むことができずにいるのが現状です。感染対策へのお願いが国民になかなか響かなくなっている今、菅首相には、抑止へむけた説明と説得力あるメッセージを出してほしいです。

(2021年8月17日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)