衆院選投票日にも出没?零票確認ガチ勢とは
今月31日が投票日の衆院選。直近の国政選挙だった2019年夏の参院選では、投票日にツイッター上で、「#零票確認ガチ勢」を含む投稿が盛り上がりをみせました。投票をするきっかけになったとの声もある「零票確認」とは?
■選挙の公正さを保つ「零票確認」
零票確認とは、公職選挙法施行令第34条で定められた「投票管理者は、選挙人が投票をする前に、投票所内にいる選挙人の面前で投票箱を開き、その中に何も入っていないことを示さなければならない」という法律に基づいたもの。
選挙の公正を保つため、投票日に各投票所に最も早く投票に訪れた有権者が、投票箱に不正がないか、投票箱が空の状態であることの確認に立ち会うというものです。
国政選挙だけでなく、地方議会や首長の選挙でも行われている零票確認。それをガチ(本気)で行う人たちを意味する「零票確認ガチ勢」に#(ハッシュタグ)をつけた投稿が、2019年の参院選で盛り上がりをみせました。
■参院選時に3万件以上のツイート
起源は不明ですが、2019年7月21日の参院選投票日に「#零票確認ガチ勢」を含む投稿が急増。
一番乗りした有権者(投票所により一人または複数のケースも)が「零票確認」の権利を得られることから、ネット上では「朝5時から並んだ」や「特別感味わった」など、目的を果たした人たちの投稿が相次ぎ、3万件以上ツイートされました。(リツイート含む)
■零票確認した“ガチ勢”に聞いた!「投票に行くきっかけにも」
その参院選で、実際に零票確認をした男性(20)に話を聞きました。
――なぜ零票確認に?
「零票確認がツイッターで盛り上がっているのを知って、18歳になって選挙権を持ってすぐの選挙だったので、行ってみようと思いました」
――投票所へは何時に?状況は?
「1時間前に着けばいいかなと思って早起きして行ったら、1番乗りでした」
その日、男性はツイッターに、零票確認の証しとして「空の投票箱」の画像に「#零票確認ガチ勢」の文字をつけて投稿しました。
――行ってみた感想は?
「選挙権を持っていて、かつ一番乗りしか味わえないという達成感がありました。(投票しない)若い人は、『よく知らない人がよく分からないことを言ってるな』というイメージで、選挙に行ってないと思う。でも、零票確認の特別感が投票に行くきっかけになってもいいと思う。行くとなれば選挙ポスターで顔くらいは見るので」
そして、今回の衆院選はどうしますかという問いには、「零票確認は今回は厳しいかもしれないですが、投票には必ず行きます」と力強く答えました。
■今回もすでに「ガチ勢」が登場
今回の衆院選でも、20日から期日前投票が始まりましたが、期日前投票でも投票箱の「零票確認」が行われます。このため、早速“ガチ勢”のツイッターへの投稿がみられました。
「零票確認に成功」という書き込みとともに、衆院選ならではの、小選挙区・比例代表・最高裁判所裁判官国民審査、計3つの投票箱の空を確認できたという書き込みもありました。
■コロナ禍の零票確認は?
コロナ禍で行われる初めての衆院選。「零票確認」に影響はあるのか、選挙を管轄する総務省の担当者に聞きました。
都道府県の選挙管理委員会を通じて、投票所でソーシャルディスタンスを確保することなど、適切な感染症対策を取ることを呼びかけていて、投票箱が空であることの確認方法についても、感染対策を取るかたちで各投票管理者が判断するということです。
写真の撮影可否に関しては、市町村の選挙管理委員会などがそれぞれ判断するとみられるということで、撮影を認めていない投票所もあり、トラブルになる可能性もあることから、注意が必要です。
2019年の参院選では、全国で4万7000か所あまりの投票所が置かれました。令和初となる衆院選、「零票確認ガチ勢」として貴重な一票を投じた有権者の投稿がSNS上で盛り上がり、投票率アップにもつながるか注目です。
写真:「零票確認」したツイッターの投稿