10万円給付“一括給付”へ 自治体が奔走
18歳以下への10万円相当の給付などが盛り込まれた今年度の補正予算が、15日、衆議院本会議で可決されました。岸田総理が一転、現金での一括給付を容認したことで、クーポンから全額現金給付を決めたり、所得制限を取りやめたりする自治体も相次いでいます。
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15日午前中から慌ただしく作業をしていた東京・多摩市の子育て支援課。
多摩市・阿部裕行市長
「年内での給付を実現しようと決断いたしました。(現金)10万円ということでお送りいたします」
多摩市は児童手当の対象であるおよそ8000世帯に現金10万円の一括給付を決断。対象世帯へ送る文書の準備に追われていました。
多摩市民からは、こうした声が聞かれました。
「大変助かります。クリスマスとかも控えていますので」
「現金は現金でありがたいですね」
クーポンと併用する方針を一転し、現金10万円の一括給付を容認した政府。15日、「全額現金給付を無条件で認める」などとした指針を自治体へ通知しました。
これを受け、大阪府の吉村知事は──
大阪府・吉村知事
「(10万円の給付は)大阪府内の43市町村のうち、クーポンでやるところは、今のところないと聞いています」
福岡県久山町も「現金一括給付」の方針を決定。急な通知となるため、急きょインターネット配信で町民に呼びかけました。
久山町・西村勝町長
「町民の皆さんに、早く不安を解消するためにも、知ってもらいたい」
愛知県名古屋市では専用のコールセンターを開設。朝から申請方法などについて、問い合わせが相次ぎました。
名古屋市では今月24日から現金5万円の給付をスタート。来年春にクーポンを給付する方針を示していました。
しかし、河村市長は午後4時半すぎ──
名古屋市・河村たかし市長
「まー、国の方がコロッと変わりまして、『クーポンより現金でもええよ』となると、人間そりゃ『現金でちょうだいよ』となりますよ。名古屋も、そういう方針でいきたい」
各自治体が奔走する10万円の給付。
さらに、独自の方針を決めたところも──
茨城県小美玉市・島田穣一市長
「所得制限を設けないで、子育て世帯に対して公平に、子どもたちに行き渡るようにということで」
小美玉市では所得制限を設けず、すべての子育て世帯に現金10万円を給付することを決めたのです。
子育て世代の市民は──
小美玉市民
「ありがたいです。うれしいです。生活費の足しにします」
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自治体が動き出す一方で、特別な思いを抱える会社もあります。
富沢印刷・岡本俊夫営業部長
「お仕事としてとらえると、ありがたい魅力的な話になります」
“コピーをすると文字が浮かび上がる”などの偽造防止技術を誇る印刷会社。過去に自治体の商品券などの印刷を請け負っていて、今回のクーポンの発注も期待していたといいます。
ただ15日時点で、オファーはなく、現金給付を選ぶ自治体が増える中――
富沢印刷・岡本俊夫営業部長
「景気が回るという意味では、印刷業界にも大きく影響は当然あるので、オファーいただければ、全力で対応させていただければなと」
大きな意味での景気回復を期待したいということです。