国会スタート…維新の“どっちつかず”戦略とは?
国会がスタート。岸田政権に対抗する野党の戦略はどうなっているのか。カギを握る「日本維新の会」の国会戦略とは?
■野党戦略…立憲x維新の「共闘」がポイント
この国会では野党第一党の立憲民主党だけではなく「維新」の動向が注目されている。去年の臨時国会では維新と立憲が力を合わせ、いわゆる統一教会の被害者救済法の成立に寄与するなど一定の成果を出した。
両党はこの国会でも防衛増税反対などで「共闘」していく考え。立憲と維新がどこまで「共闘」し、岸田政権を追い詰められるかがポイントとなる。
■立憲と「共闘」の裏で…なぜ? 自民党も連携
しかし、維新は立憲だけでなく、実は自民党とも距離が近い。自民党とは「憲法改正」や「安全保障政策」などの分野で「連携」していくことを確認している。ある維新幹部は「政策を実現させるためなら自民党とも手を組む」と語っていて、「両にらみ」で党の存在感をアピールする戦略だ。
■「維新」と「自民」の国対部屋…中で繋がっていた
この維新と自民の「距離感」を象徴するものが国会内の維新の部屋にあった…。
それは「ついたて」だ。
維新の国会戦略を担う国会対策委員会=「国対」と呼ばれる部門の部屋。この部屋の扉の先には「記者会見場」があるが、実はこの会見場の「ついたて」で仕切られているだけの横に自民党の国会対策を仕切る幹部らのスペースがある。普段、このスペースは許可なく記者も入れない「密室」なのだが、そこでは維新幹部と自民幹部が「人の目に触れず」に会うことができる。
通常、こうした別の党同士が国会内の部屋を分け合うケースでは「壁」を設置してスペースを隔てるが、「壁」をつくることが「税金のムダ」ということもあり見送られた経緯もあるという。
■「維新」も足元に火種…問われる戦略
ただ、維新自体も所属議員の年金未納問題などを抱えているほか、別の野党からは「維新は野党なのか与党なのか、中途半端な立ち位置だ」などとの批判もあがっている。
また、安倍政権や菅政権では、時の首相や官房長官らと太いパイプがある維新は政府・自民党に近い存在だった。しかし、岸田政権になり状況は一変。政権中枢とのパイプは細くなった。このことから立憲にも接近し、「両にらみ」をせざるを得なくなったという事情もある。
一見、うまく立ち回っているように見える維新にも、この「両にらみ」戦略で、支持が広がるのかという課題も突きつけられている。