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知事「次の代に引き継ぐ予算」 県の新年度当初予算案

2024年2月7日 19:01
知事「次の代に引き継ぐ予算」 県の新年度当初予算案

県は一般会計の総額が5842億円余りの新年度当初予算案を、県議会に内示しました。佐竹知事が本格的に新年度予算案を編成するのは、これが最後の見込みで「次の代に引き継ぐ予算だ」と述べています。

県の新年度当初予算案は一般会計の総額が5842億円で、今年度より17億円、率にして0.3パーセント多くなりました。防災力の強化や人口減少の克服に向けた事業に重点が置かれています。

佐竹知事は来年4月の4期目の任期満了をもって退く意向を示していて本格的な新年度の予算編成はこれが最後となる見込みで、「次の代に引き継ぐ予算だ」と述べました。

県の懐具合=財政事情を見ていきます。新年度の予算案は5842億円。まずは県の収入=歳入です。

県民や企業が納める税金=県税は合わせて957億円です。円安で輸入が落ち込んだ影響もあって、県税は今年度より43億円少なくなる見通しです。

歳入で最も多くを占めるのが地方交付税で1954億円です。県の歳入の3分の1が国からの地方交付税でまかなわれています。

新たな借金、県債によって565億円を確保します。去年の記録的大雨による被害からの復旧には県債、借金もあてられます。鹿角高校の整備が終わったことなどから県債は今年度より28億円少なくなりました。

借金はもちろん返さなければいけません。県の借金の合計残高県債残高は新年度2024年度末の時点で1兆2288億円に上ります。生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで、県民全員が1人当たり135万1010円の借金を背負っている計算です。10年前に比べ一人当たり11万円余り増えています。

続いては県の支出歳出についてです。4分の1近くを占めるのは職員の人件費で1368億円。今年度は公務員の定年が延長されたことで一時的に退職者が減りましたが再び退職者が増え、人件費が70億円増えています。

県の借金を返済するための費用、公債費は928億です。公共事業にあてる費用は今年度より50億円増え1010億円です。去年の大雨災害からの復旧事業もここに含まれています。

財政の健全化を示す指標の一つ基礎的財政収支、プライマリーバランスについて県は県債の発行つまり借金を抑制しているため283億円の黒字を確保していると説明しています。ただ県の基金を225億円取り崩して財源を確保しています。取り崩し額としては新年度当初段階ではここ5年で最も多くなっています。

具体的な事業を見ていきます。

県は県の内外の大学生をターゲットに県内就職率の向上を目指します。経済的な負担を軽減するため、大学を卒業し、県内企業に就職した人に対し、奨学金の返還を助成する制度を設けます。年間の上限は20万円で、6年間、最大120万円を助成します。

あわせて専門知識を学んだ学生を受け入れる企業に対しての支援も行います。人材確保に向けては外国人材の受け入れをサポートするセンターを設置。企業からの相談にワンストップで対応します。

防災力強化には合わせておよそ123億円を計上しました。復旧にとどまらず抜本的な治水対策を行う方針です。秋田市の太平川や五城目町の内川川などで河川の改修を進めるほか、男鹿半島での地震に備えて対策の具体的な検討に着手します。スマートフォンから音声で情報が取得できるアプリを活用するなど災害時の情報発信も強化します。

去年、被害が相次いだクマをめぐっては固定カメラを120台設置し、2年をかけて生息数を把握するための調査を行います。また目撃情報などを示したマップを新たに作成します。メールで新たな情報を通知する機能も備えたもので、7月から使えるようにする計画です。市町村が行う猟友会の活動支援や、おりや電気柵の整備などへの助成は今年度から6割増額します。

県は災害対策を優先して進める方針で、新規事業の数は99と数としては今年度より35少なくなっています。新型コロナ関連は感染症法上の位置づけが5類に移行したことなども踏まえ、今年度156億円あった費用は、新年度は検査体制の整備費など7000万円ほどにとどめました。

当初予算案を審議する県議会は14日から始まります。

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