【全文】自衛隊による破壊措置を実施せず 松野官房長官(10/4緊急会見②)
松野官房長官は、4日午前の会見で、北朝鮮の弾道ミサイルについて、自衛隊による破壊措置は実施しなかったことを明らかにしました。
会見の概要は以下の通りです。
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○松野官房長官北朝鮮は本日7時22分ごろ、北朝鮮内陸部から弾道ミサイル1発を東方向に発射しました。
詳細については分析中ですが、当該弾道ミサイルは、青森県付近の我が国上空を通過した後、7時44分頃、太平洋上の我が国排他的経済水域外に落下したものと推定されます。
また国民の皆様に対しては、Jアラート等により、ミサイルの発射情報と通過情報を伝達するとともに、付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところであります。
現時点において被害報告等の情報は確認をされていません政府としては引き続き、我が国の領域およびその付近の落下物の有無等について、関係機関を通じて確認作業を実施しているところです。
北朝鮮は今年に入ってからも、弾道ミサイルを計20回にわたって発射しています。
これらの極めて高い頻度で続く一連の挑発行動に加え、今般我が国上空を通過する形で、弾道ミサイルを発射したことは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、国際社会全体にとって深刻な挑戦であります。
また、事前の通報なくして、かつ、我が国上空を通過するような形で弾道ミサイルを発射することは、航空機や船舶はもとより上空を弾道ミサイルが通過したと判断される地域の住民の安全確保の観点からも極めて問題のある行為であります。
政府としては北朝鮮による今般の弾道ミサイルの発射について、直ちに北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議をし、最も強い表現で非難しました。
また、本日午前8時45分頃から国家安全保障会議を開催し、情報の集約および対応について協議しました。
国家安全保障会議においては、総理からの6点の指示を受け、我が国として、引き続き、国際社会との協力、連携をさらに強化し、関連する国連安保理決議の実効性の確保を図りつつ、国連安保理におけるさらなる対応を含め、北朝鮮に対して断固たる対応をとっていくことを確認しました。
その上でこうした内容を含む内閣官房長官声明を審議し、お手元の配付資料の通りとしたのでご参照ください。
政府としては、情報の収集および分析に全力を尽くし、新たな情報については国民の皆様に対して情報提供を行ってまいります。
また米国や韓国等の関係国と緊密に連携し、引き続き、国民の安全と安心の確保に万全を尽くしてまいりますので国民の皆様におかれましては、冷静に、平常通りの生活を送っていただきたいと思います。
なおこの後、防衛大臣が詳細について会見するものと承知をしております。
私からは以上です。
――飛翔状況、弾種、弾道について伺う。
韓国の尹大統領は飛翔距離4000キロ程度となる中距離弾道ミサイルが日本を越える形で発射されたと述べています。
初期の分析について伺う。
またIRBM中距離弾級の可能性があるのか、また今回の発射はロフテッド軌道などではなく通常の軌道で発射されたのか。
○松野官房長官
飛距離は約4600キロ。
最高高度は約1000キロと推定をいたしております。
その他、弾道ミサイルの種類等の詳細については現在分析中であります。
――自衛隊の対応について伺う。
今回のミサイル領土領海には落下せず上空通過したということだが、その間に落下物があった恐れもある。
破壊措置は実施していないという事でいいのかを含めて、自衛隊が取った措置について伺う。
○松野官房長官
本日北朝鮮が発射したミサイルは、自衛隊が発射直後から落下まで完全に探知、追尾をしており、その落下によって我が国領域における被害は想定されなかったことから、自衛隊による破壊措置は実施をしなかったということでございます。
政府としてはいかなる事態においても国民の生命財産を守るべく、万全の態勢をとる観点から、防衛省、自衛隊に所要の体制をとらせていますが、具体的な対応を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
――関連。
韓国軍は発射場所が北朝鮮内陸部の慈江道舞坪里付近からと発表しているが、分析状況は。
また、飛翔距離は4600キロということだが、日本からどのくらい離れた位置に落下したのか。
○松野官房長官
詳細につきましては、そのうち防衛省の方から、会見がありますし、また、問い合わせを頂きたいと思います。
――NSCについて。
財務大臣が入っていたが、北朝鮮の制裁も含めて議論したのか。
○松野官房長官
議論の詳細について説明することは差し控えたいと思いますが、本日の国家安全保障会議では、北朝鮮のミサイル発射に関して、情報の集約および分析を行いました。
また、最新の北朝鮮情勢を受けた、我が国の対応方針について議論を行ったほか、北朝鮮によるさらなる弾道ミサイルの発射等に備え、情報収集、警戒監視にあたるとともに、国民の安全と安心の確保に万全を期していくことを改めて確認しました。
そのうえで、以上のような内容を含む内閣官房長官声明を審議、確認し、発出することとしました。
――本日も含めて、北朝鮮の度重なるミサイル発射の背景を、日本政府としてどう分析しているのか。
また北朝鮮へのさらなる制裁を検討しているのか伺う。
○松野官房長官
今回の北朝鮮による弾道ミサイル発射の意図、目的について、我が方として、断定的にお答えすることは差し控えたいと思います。
いずれにせよ、政府としてはこういう弾道ミサイルの発射も含め、北朝鮮の軍事動向について引き続き米国や韓国をはじめとする関係国と親密に連携しつつ重大な関心をもって情報の収集、分析に努め、我が国の平和と安全の確保に万全を期していく考えです。
――今回のミサイル発射を受けて、北海道、青森県で全国通報システムJアラームが発令されたが、各市町村でシステムは正常に作動したのか。
トラブルの報告などはないでしょうか。
政府としての国民への注意喚起は適切だったか現時点での認識を伺います。
○松野官房長官
情報発信の方法としては防衛省からの情報を入手次第、Jアラートを活用するなどして、国民に対する情報提供を行ったほか、地方公共団体や指定公共機関に対してEm-Netにより情報を伝達しました。
JアラートやEm-Netで伝達した情報の内容としては、発射されたこと、及び通過した情報について伝達しました。
JアラートやEm-Netによる伝達については、防衛省からの各情報の提供後、ただちに官邸から送信を行っており、速やかに伝達ができたのではないかと考えています。
政府としては種々の手段を活用し、国民、地方公共団体及び、報道機関等に迅速かつ的確に情報をお伝えすることができたものと考えています。
――先程、「北朝鮮に断固たる対応をとることを確認した」ということだが、日本政府として、北朝鮮へのさらなる制裁を検討しているのか伺う。
○松野官房長官
先程申し上げた通りでございますけれども、関係国、国際社会と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
――北朝鮮のミサイル発射は「成功した」とみられることでいいのか。
さらなる発射を行うことについてはどう考えるか。
○松野官房長官
詳細につきましては先ほど申し上げた通り、現在分析中でございます。
――北朝鮮のミサイル技術の向上について日本政府としてどう受け止めているのか見解を。
○松野官房長官
北朝鮮の軍事動向、技術に関しては、平常時より分析を進めております。
今回の発射につきましても従来より申し上げてます通り、北朝鮮のミサイル技術というのは進化をしているという認識でございますが、詳細に関しましては、発言を控えさせていただきたいと思います。
――関係国との連携について。
アメリカ韓国など関係国と連携して対応に当たるということですが、岸田総理をはじめ政府高官による電話会談などの予定はあるか。
また、アメリカの太平洋軍司令官が今訪日中で今日長官も面会予定。
どんなことを確認したいか。
○松野官房長官
先ほど申し上げましたけれども、国際社会との協力連携をさらに強化し、関連する国連安保理決議の実効性の確保を図りつつ、対応をしっかりと連携をしつつ進めてまいりたいと思いますが、今後の対応に関しては状況をしっかりと分析しつつ適切に対応してまいりたいと思います。
――Jアラートによる情報提供やEm-Netによる情報提供は何時何分頃に実施されたのか。
弾道ミサイルが日本の上空に到達したのは何時何分ごろか。
情報伝達から実際に避難するまで十分な時間っていうのはできているのか。
○松野官房長官
Jアラート、Em-Net等の情報発信については先ほど申し上げた通りでございますけれども、その詳細につきましては、また関係省庁にお尋ねいただきたいと思います。