【ひと目で分かる「政治とカネ」】自民党本部に献金…上位10社に独自アンケート どのような企業が、なぜ献金を?
『news every.』では「ひと目で分かる政治とカネ」と題して、企業・団体献金についてシリーズでお伝えしています。
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鈴江キャスター
「まず、各政党の「企業・団体献金」について整理します。去年、各政党の本部が企業、業界団体、政治団体などから寄付された金額は、自民党が圧倒的に多く約23億円。次に多いのが立憲民主党で約76万円。日本維新の会は35万円などとなっています。つまり、一部の野党も受け取っていますが、自民党が突出していることが分かります」
鈴江キャスター
「では自民党に対して、どのような企業が、なぜ献金をするのでしょうか。日本テレビ政治部・与党担当キャップの前野全範記者に聞きます」
政治部・与党担当キャップ 前野全範記者
「まず、どのような企業が献金するのか。自民党本部の場合、国民政治協会という団体が献金の受け皿になっていますが、去年この団体への献金額が多かった上位10社のうち、一番多かったのは住友化学とトヨタ自動車で5000万円。キヤノンの4000万円、日産自動車の3700万円などが続き、上位10社はいずれも3000万円を超える額となっています」
鈴江キャスター
「いずれも多くの人が知っている大企業ですが、なぜ献金するのでしょうか?」
前野記者
「日本テレビでは、この10社に選択式のアンケートを行い、非回答の社を除き、8社から回答を得ました」
前野記者
「まず、一番気になる『献金する理由』について聞いたところ、7社と最も多かったのが『企業の社会的役割を果たすため』。そして『政党の政策や主張を支持・支援するため』が3社。その他が1社という回答でした」
「次に『献金した結果、実際に得たメリット』について、『自社の要望を取り入れてもらえた』『具体的なメリットがあった』という回答はゼロで、大半の企業(6社)が『政党を支援することで民主主義社会に貢献できた』という回答でした」
鈴江キャスター
「企業の社会的役割というのは、政治に関してはどういった役割なのか、少し分かりづらいところもありますよね」
前野記者
「ある経団連幹部に本音を聞いたところ、『お願いを聞いてもらえるから寄付する、というのではなく、民主政治に必要なコストを負担する』という意味で社会的役割だと言っている、ということです。その証拠に、年によって寄付額が変わらない企業が多いと」
「また、ある業界団体の関係者は『弱い業界なので政治にルートを持っていた方がいい。お願いするためではなく、情報交換のための献金』との本音を語ってくれました」
鈴江キャスター
「一方で野党の中からは、カネによって政策がゆがめられるおそれもあるという懸念を示す考えも出ています。政党にとって、企業・団体献金はやはり必要なんでしょうか?」
前野記者
「はい。企業や団体からの献金は政治家にとって比較的自由に使える『使い勝手の良い』資金という点が大きいんです。というのも、私たちの税金が元手になっている『政党交付金』は、使途の報告が必要です。たとえば自民党は、内部の規則で『飲食費には使えない』『領収書がもらえない支出には使えない』といった厳しいルールを設けています。つまり裏を返すと、飲食など比較的自由に使える政治資金を確保するためには、企業・団体献金などを独自に集めることが重要になるわけです」
桐谷美玲キャスター
「いま、政治とカネの問題などが続く中、企業側はこの企業・団体献金について正直なところ、どのように思っているのでしょうか?」
前野記者
「気になりますよね。その点についてもアンケートで聞いてみました。多くの企業が『使途の透明性を高めるべき』、中には『上場企業並みの年4回の使途公開をすべき』などの回答が複数ありました。つまり献金する側の企業としても、正しく使われているか明らかにすべきだと考えていることが分かりました」
前野記者
「今回は『政党本部』に対する献金を取り上げました。一方、それぞれの国会議員が代表を務める『政党支部』に対しても、企業・団体献金は認められていて、政党支部を含めると、自民党だけでなく一部の野党も、一定の献金を支部で受けているという実情があります」
「企業・団体献金そのものが問題なのか、あるいは政治家がどの企業からいくら受け取っているのか透明性が低いことが問題なのか。12日から始まる実質的な審議で、議論が深まることが期待されています」