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「経済、経済、経済」岸田首相が連呼 所信表明演説 “所得税の減税”には党内からも…

2023年10月23日 20:21
「経済、経済、経済」岸田首相が連呼 所信表明演説 “所得税の減税”には党内からも…

物価の上昇が続く中、岸田首相が検討を指示した“所得税の減税”が、今の国会でも大きな論点となっています。岸田首相は所信表明演説で「経済」を連呼し、「大胆な取り組みに踏み込む」と強調しました。

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東京・大田区の商店街にある青果店「レ・アル かきぬま」を取材すると、食事に欠かせない野菜の値段が上がり、客を悩ませていました。

――野菜の値段ってどうですか?

買い物客
「特に高いですね。トマトとブロッコリーと」
「うわー高いなと思うんだけど、(別の店で)ネギが2本で400円になっていたのはびっくりしました」

この青果店のなかで最も仕入れの値段が上がったのが「トマト」だといいます。

レ・アル かきぬま 柿沼道之助社長
「(トマトが)1番高い時で1万円、1箱で。(トマト1箱)普段は2000円くらい」

家計の消費支出に占める食費の割合(=エンゲル係数)を見てみると、今年は27.3%(8月まで)と、現行の調査が始まった2000年以降、最高の水準になっています。※2人以上の世帯

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家計を圧迫する物価高の問題にどう取り組むのか。23日午後、岸田首相は国会で所信表明演説を行いました。

岸田首相
「経済、経済、経済。私は何よりも経済に重点を置いてまいります」

「経済」という言葉を連呼して、“過去に例のないような大胆な取り組みに踏み込む”と決意を述べました。

その上で、岸田首相は経済対策のポイントとして「供給力の強化」と「国民への還元」をあげました。

岸田首相
「変革を力強く進める“供給力の強化”と、不安定な足元を固め物価高を乗り越える“国民への還元”。この2つを“車の両輪”として、総合経済対策を取りまとめ実行してまいります」

「国民への還元」については、岸田首相は期限付きの所得税減税の検討を進める考えを示しました。

岸田首相
「還元措置の具体化に向けて、近く与党の税制調査会における早急な検討を指示します」

また、政府がすでに年末までの延長を決めている電気・ガス・ガソリン代への支援策についても、来年春まで継続することを表明しました。

経済対策のもう1つのポイントにあげた「供給力の強化」については、半導体や脱炭素などの安全保障に関する大型投資や、スタートアップへの支援などを掲げました。

岸田首相
「本会議場に集う国会議員の皆さん、『この国会が変革への大きなうねりを生み出した』そのように後世から評価されるよう、共に挑戦しようではありませんか」

声に力を込めての演説でしたが…「経済」を連呼する首相に対し、「増税、増税、増税」とヤジも飛びました。

野党側は岸田政権が防衛増税などを掲げるなかで減税を打ち出した事を批判しています。

野党からは――

立憲民主党 泉代表
「ここまで経済対策が遅れたということも、総理による人災だ。後ろには増税が隠れているという中で、減税という言葉だけを表に出そうともくろんだ。この総理の真意を問わなければなりません」

岸田首相が打ち出した所得税の減税については、与党内からも反対の声が上がっています。

自民党幹部
「財政状況を考えれば減税などできない」

首相側近議員
「どういう理屈で説明するか不安だ」

自民党の幹部からは来年の夏には実現させたいとの声も上がっていますが、減税への反対論もある中、調整は難航しそうです。