【解説】3月13日からマスク緩和 “個人の判断”で…学校や電車でルールどう変わる? ナゼいま“脱マスク”?
これまで3年間、マスク着用が当たり前となっていた日常生活ですが、3月13日からはルールが変わります。岸田首相の狙いとは?
●「個人の判断」とは?
●鉄道・飛行機は?
●なぜこのタイミング?
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
岸田首相は10日午後、関係閣僚と協議し、マスク着用ルールを3月13日から緩和する方針を確認し、政府の対策本部で正式に決定されます。
現在、政府は屋内ではマスク着用を推奨、屋外では原則不要としていました。3月13日からは「屋内・屋外を問わず、個人の判断に委ねることを基本」とされます。変更の理由については「新規感染者数の減少傾向」としています。
今も日本では、家の中以外はほとんどの場面で、当たり前のようにマスク着用していると思われますが、このルール変更で混乱も予想されます。そのため、各自の判断の参考になるようマスクを着用した方が効果的なケースも示されています。
例えば、通勤ラッシュなど「電車・バスが混雑している場合」、「医療機関・高齢者施設などを訪問する時」が例示される方向です。ただし、ほとんどの乗客が着席可能な「新幹線・高速バス」などは含まれていません。
政府のルール変更を受けて、交通各社もこれまでの方針を少しずつ見直す方針です。
JR東日本は、5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行することを受けて、「政府の方針に従って、感染対策をとる」としました。そして現在の感染対策については、「少しずつ見直していきたい」としています。これまで電車内でのマスク着用、テレワーク推進、ラッシュを避けての利用などを呼びかけてきましたが、すでに注意喚起の放送回数を減らしているということです。
また国内の航空会社19社が加盟する定期航空協会も、政府の方針に合わせ、機内でのマスク着用については「個人の判断に委ねる方向で対応を進めていく」としています。
■卒業式も…岸田首相「着用しないことを基本」
なぜルール変更が「3月13日」というタイミングになったのでしょうか。その理由の1つは、卒業シーズンです。小中学校などの卒業式は3月に行われるため、考慮されたということです。
子どもたちはこれまで3年間、「ずっとマスクちゃんとしてね」と言われてきたので、いきなり「どっちでもいいよ」と言われて困る子も出てくるでしょうし、学校側も困惑するかもしれません。
こうした中、岸田首相は10日、埼玉・戸田市の小学校を視察し、現場の意見を聞いた上で、次のように述べました。
岸田首相
「ぜひ卒業式においては、お互いの笑顔を見ながら、参加してほしいと思っています。児童生徒と教職員はマスクを着用しないことを基本としたいと思っています」
換気などの感染対策を行い、国歌斉唱・合唱の時は除くとした上で、卒業式でも児童生徒と教職員はマスクをしないことが基本と表明しました。
また首相は「マスク着用を希望する子どももいるので、無理強いはしないように求める」と述べました。新たな情報では、基本的対処方針に、今後は学校教育活動でマスクの着用を求めないことを基本とすることが加えられる見込みです。
■岸田首相の狙い 5月8日から「G7サミット」
ルール変更のタイミングを巡り、ある政府関係者は「サミット前に5類への移行、マスク着用ルールも変えたいと思っている」と述べました。
別の政府関係者は「岸田首相が欧米を訪問した時、みんながマスクを外していた。5月のサミットの時には、日本もその“世界スタンダード”にそろえたいという思いが強くなったようだ」と明かしました。
今後のスケジュールは、岸田首相肝いりの「G7サミット」が5月19~21日に広島で開催されます。大勢の世界の主要国首脳、関係者、報道陣らが訪日する予定です。
それに先立つ5月8日からは、新型コロナの感染症法上の分類が、インフルエンザと同じ5類に変更されます。岸田首相は3~4月の卒業・入学シーズンを前提に、このタイミングでのルール変更を打ち出しました。
実は5月に控える「広島サミット」という大舞台を前に、“日本もコロナを乗り越えて、平常に戻っている”とアピールする狙いもあるとみられます。
“同調圧力が比較的強い”とされる日本では、周りの人の目が気になるという人がまだまだ多いのが実状です。「個人の判断」とするからには、どちらを選択したとしても、肩身の狭い思いをする人が出ないような社会的合意を作っていくことも大切です。
(2023年2月10日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)