学校で「生成 AI」どう活用? 文部科学省がガイドライン......「定期テスト」や「読書感想文」は“不適切”に 問われる判断力
千葉・柏市のクラーク記念国際高等学校を訪ねました。教室では、生成AIのチャットGPTを活用してゲームを制作する授業が行われていました。
難しいプログラミングコードをAIが瞬時に作成し、「おー、すごい!」という声が上がりました。
誰でも簡単にゲームを作れるかと思いきや、ある生徒は「1回全部生成し直してみようかな」と悩んでいました。
生徒は「(ゲームに)エラーが起こったので直そうとしています」と話しました。チャットGPTが作成したコードでエラーが発生。しかし先生が原因を調べてみると、動きました。
「俺が操作ミスをしちゃって。(エラーは)AI全然関係なかった」と生徒。
AIのサポートがあったとしても、重要なのは使い手の知識です。
教育現場でも広がりを見せる生成AI。
文部科学省が4日、学校での取り扱いに関する暫定的なガイドラインを公表しました。
生成AIの不適切な活用例として挙げられたのは、読書感想文などでAIが生成したものを自分のものとして提出すること、定期考査や小テストなどで子どもたちに使わせること、メリットやデメリットなどの学習をせずに自由に使わせることなどです。
一方で適切な活用例としては、グループ学習で足りない視点を見つけるために活用すること、英会話の相手にすること、高度なプログラミングを行わせることなどが挙げられています。
いち早く今年3月に生成AIへの対応方針を示していた上智大学。
曄道佳明学長は、活用自体は歓迎すべきとした上で、課題も多くあると指摘しています。
「依存症がどれぐらい出てしまうかが一番大きな問題。(学生が)いざ判断を求められる立場になった時に、判断力が身についているかどうか。これは社会全体がしっかり考えていかないと(いけません)」
有働由美子キャスター
「今、一番日本で生成AIと向き合っている落合さんに聞きます。子どもの教育への使用制限は要りますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「僕は要らないと思います。読書感想文も使っていいと思います。AIにできることを一生懸命やるより、(AIを)活用して良いものを作れる能力を伸ばすべきだと思います」
有働キャスター
「そのために、今後生成AIを正しく使いこなすための力を意識的に育てていくためには、教育現場に何が必要ですか?」
落合さん
「全部自分で作る能力というよりは、出てきたものが良いか悪いか(判断する力)。例えばプログラミングなら、きちんと動くか動かないかが分かる能力がとても大切です」
「例えば、自分でピアノは弾けなくても、良い演奏は分かると思います。指揮者はピアニストではありません。演奏したい人は演奏すればいい。AIを指揮する能力は別ですし、それを伸ばしていけば、良いか悪いか分かれば、十分だと思います」
有働キャスター
「AIを使いすぎると考える力や文章を書く力が衰えるのではないか、という説があります」
落合さん
「人間もある程度いろいろなものが衰えてきたので、伸ばせるところをどんどん伸ばしていけばいいのではないでしょうか」
(7月4日『news zero』より)