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なぜここまで難航?マイナカード“一体化”で保険証廃止の方針も…埋まらない2つの意見の溝

2023年8月1日 17:31
なぜここまで難航?マイナカード“一体化”で保険証廃止の方針も…埋まらない2つの意見の溝
マイナンバーカードと一体化させ、今の健康保険証を来年の秋に廃止する方針をどうするか。政府内の調整が難航しています。なぜ、難航しているのか、国会記者会館から平本典昭記者が伝えます。

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政府・与党内で意見が2つに割れて集約できていないからです。政府内の構図は次の通りです。

まず、岸田首相ら官邸サイドは何とか「逆風を抑えたい」として「来年秋の保険証廃止を延期する」案を検討しています。ある政権幹部は「年単位で延期するしかない」と話しています。

これに対して、加藤厚労相と河野デジタル相は「延期に反対」の姿勢です。延期には6月に成立したばかりの改正マイナンバー法の再改正が必要で、「難しい」と強調しています。

そのかわり、延期反対派、特に厚生労働省が主張しているのが、保険証の代わりに使える「資格確認書」の有効期限1年を延長する案です。

この2つの意見の溝が埋まらないままなんです。

さらに1日午後、連立を組む公明党の山口代表も延期に反対の姿勢を示しました。

山口代表「今、それ(廃止時期の延期)を決める理由が全くわかりません。きちんと政府として説明することが、まず先だと思います」

この発言を聞いて、ある首相周辺は「え、この人まで?」と驚いた様子でした。

■なぜ、ここまで調整が難航している?

この質問を、ある政府関係者にしたところ、岸田首相が「聞く力を発揮してるんでしょう」と、少し嫌みを込めた言葉が返ってきました。

どういうことかというと、岸田首相はこの夏、地方行脚を再開するなど、首相就任の原動力になった「聞く力」を改めて前面に出しています。

ある政府関係者の発言は、岸田首相が「聞く力」を発揮しすぎて「物事を決めない」という嫌みなんです。

難航しているもう1つの理由は、政権の力が弱まっているからという指摘が出ています。ある自民党議員は、支持率の低下で省庁が「官邸の足元を見ている」と分析しています。

別の自民党議員は、「総理の『聞く力』なんてもういい。決断しないと、どんどん政権の体力が奪われることに総理自身が気付いてない」と厳しく指摘しています。

岸田首相は政府内の方針が決まれば、記者会見を開き、説明する考えですが、このまま調整の難航が続けば、国民の不安はますます高まることになりそうです。
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