【全文】 去年の貿易収支が過去最大の赤字「今後の動向を注視」 官房長官会見(1/19午前)
松野官房長官は19日午前の会見で、去年の貿易収支が過去最大の赤字になったことについて、「輸入額が原粗油や石炭が増加した等による赤字であり、日本企業の経常利益は拡大傾向にある。今後の動向を注視する」と述べた。
<会見トピックス>
▽貿易赤字
▽NHK受信料
▽福岡女性殺傷事件
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――貿易赤字について伺う。先ほど発表された統計で去年の貿易収支は過去最大の赤字になりました。日本企業の国際競争力が弱まり、輸出収益を上げる形が壊れているとの指摘もありますけれども受け止めと企業が稼ぐ力を取り戻すための対応策を伺う。
○松野官房長官
本日発表された令和4年分の貿易統計において、輸出額から輸入額を差し引いた金額は19兆9713億円の赤字となり過去最大の貿易赤字額となったと承知しています。その主な要因については輸出額が自動車や鉱物性燃料が増加したこと等により前年比で+18.2%となった一方で、輸入額が元素油や石炭が増加した等により前年比で+39.2%となったこと等であると承知をしています。輸出入の動向は内外の経済情勢や、原油価格の動向など様々な要因の影響を受けるものでありますが、いずれにせよ、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。日本企業の経常利益は拡大傾向にあり輸出だけでなく、海外投資で稼ぐ構造に転換してきています。他方輸出を通じた成長は企業にとっても日本経済にとっても引き続き重要でありしっかり支援をして行きます。そのための鍵は生産基盤強化のための国内投資であり政府として先般成立した補正予算において、約7兆円を措置し昨年12月には全国の経済界が一堂に会した国内投資拡大のための官民連携フォーラムに岸田総理も、出席し機運醸成を図ったところであります。また、中小企業についても先日成立した補正予算を活用し昨年12月16日に新規輸出一万社支援プログラムを開始したところであります。全国の商工会、商工会議所等から輸出に関心ある企業を紹介いただきジェトロと中小機構が連携し事業計画の策定や商品開発から販路開拓までを一気通貫で支援して行きます。
――総務省がNHKが正当な理由もなく受信契約に応じない人に割増金を請求できる制度を4月に導入することを認めたという一部報道があります。事実関係の確認と受け止め、望ましい制度の運用について見解を伺います。
○松野官房長官
NHKの受信料について負担の公平性を是正するため、昨年に成立した改正放送法において、受信契約の締結に応じない者に対する割増金制度を導入しました。これを踏まえ、NHKにおいて本年4月1日より、一定期間に契約申し込みを行わない場合に受信料の2倍の割増金を導入することを通じて、受信料の支払率の向上と、視聴者における公平負担の徹底を促進するものと承知をしています。一方で、NHK自らが、視聴者の理解のもとで自発的な受信料支払いを促す取り組みを進めることは重要であり、受信料制度の意義を丁寧に説明し、受信料の支払いをお願いする努力を重ねていくことが期待されていると認識しています。
――福岡市博多区で付きまとい行為を受けていた女性が殺害された事件について伺う。福岡県警は容疑者に対してストーカー規制法に基づく禁止命令を出していましたが、事件を防げなかった。過去には同様の措置を受けていた加害者が犯行の及ぶ事件が相次ぎ、専門家からは規制法の限界を指摘する声もある。悲劇を繰り返さないためにも法律の運用改善や法改正も含め政府として何らかの対応が必要と考えるかお考えをお聞かせください。
○松野官房長官
まずは亡くなられた被害者に哀悼の意を表するとともに、ご遺族にお悔やみを申し上げます。お尋ねの事件については、警察が必要な捜査を行い、昨日殺人罪で被疑者を逮捕したと承知しています。当該事件については引き続き警察において事案の解明のため、捜査が行われると承知しており、詳細につきお答えは差し控えさせていただきます。その上で申し上げますと、警察ではストーカー行為等の実情に鑑み、適宜、ストーカー規制法を見直すとともに、同法等を適切に運用しつつ個別具体の状況に即して、加害者の検挙措置、禁止命令等の行政措置の実施といった対応を推進しているものと承知しています。引き続き関係機関が連携して、被害者の安全を確保するため、取り組みを推進していくことが必要であると考えています。