【全文】防衛費財源「国会審議通じて丁寧に説明」官房長官会見(1/18午後)
松野官房長官は18日午後の会見で、防衛力強化に伴う増税について「国会審議の場も通じて、引き続き丁寧に説明していきたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽金融政策
▽東電旧経営陣控訴審判決
▽通常国会に向けての施政方針演説
▽来週からの国会対応
▽新型コロナのワクチン接種
▽中小企業の賃上げ
〇松野官房長官
冒頭発言はございません。
――金融政策について伺います。日銀は今の大規模な金融緩和策の維持を決め、長期金利の変動幅も先に修正した内容を維持しました。市場では金利の上昇圧力が高まっていましたけれども、今回の決定についての見解を伺います。
〇松野官房長官
本日の金融政策決定会合において、日銀はこれまでの金融市場調節の方針の維持などを決定したものと承知しています。日銀には引き続き、政府との連携の下、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて努力されることを期待しています。
――東京電力福島第1原発事故を巡り業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣元会長ら旧経営陣3人の控訴審で、東京高裁は本日、巨大津波を予見できなかったとの一審東京地裁の判決判断は妥当だとして、一審に続き3人に無罪判決を言い渡しました。受け止めを伺います。また東日本大震災と原発事故により、依然として多くの福島県民が県内外へ避難を続けていますが、政府として事故対応と復興への道筋をどう描いていくかについてもあわせて伺います。
〇松野官房長官
報道については承知していますが、個別の訴訟における判決でありコメントは差し控えたいと思います。いずれにせよ、福島第1原子力発電所事故の教訓を踏まえ、二度とこうした事故が起きないようにすることが政府の役割と認識しています。引き続き、被災された方々に寄り添って、福島の復興、再生に向けた取り組みを全力で進めるとともに、福島第1原子力発電所の廃炉等を着実に進めてまいりたいと考えております。
――来週23日に通常国会が開会し、岸田総理が施政方針演説を行う予定となっていますが、政権にとって施政方針演説の位置づけとは、重視する内容について現段階の見解を伺います。
〇松野官房長官
施政方針演説は政府の施政に関する方針を国会において表明するものであります。その内容について、現時点で私から申し上げることは差し控えますが、岸田総理から政権の取り組みに関して重視する点や基本的な考え方について表明されることになります。
――立憲民主党と日本維新の会が党首会談をし、防衛費増額に伴う増税に強く反対し、撤回を求めるといった内容で合意し、通常国会での共闘を確認しました。野党は増税反対で足並みをそろえる。来週からの国会では、厳しい追及が集中することが想定されますが、どういうふうに理解をもとめていくのか。政府の対応について伺います。
〇松野官房長官
ご指摘の合意については承知していますが、政党間でのやりとりについて政府としてコメントすることは控えたいと思います。防衛力強化については、安定的な財源を確保する上で、国民のご負担をできるだけ抑えるため、歳出改革など、あらゆる工夫を行い、その上で残りの約4分の1について税制での措置をお願いすることとしたものであります。
国民の皆様の平和で豊かな暮らしを守るために、また私達の世代が未来の世代に責任を果たすために、ご協力をお願いしたいと考えており、国会審議の場も通じて、引き続き丁寧に説明していきたいと考えています。
――新型コロナのワクチン接種について伺います。昨年12月には接種回数が1日100万回を超える日もありましたが、年を明けてやや減少傾向にあります。政府として、この要因をどうみるでしょうか。また、政府は昨年10月から11月にかけて1日100万回の接種体制を整備するとの目標を掲げましたが、コロナ関連で1日の死者数が過去最多となり第8波の収束はまだ見えない中で、新たな接種目標を掲げる考えはありますでしょうか。
〇松野官房長官
本日公表時点のオミクロン株対応ワクチンの接種率は全人口で39.1%、高齢者で66.4%であり、現時点で公表されている最新のG7各国の接種率を比較すると、日本が最も高くなっています。昨年秋の接種開始以来、接種が進んでいるところでありますが、現在の感染状況も踏まえ、引き続き、接種率の向上に取り組んでいく考えであります。今後新たな目標を掲げることは現時点で考えていませんが、引き続き、希望する全ての対象者が早期にワクチン接種を受けられるよう、テレビCMやSNS、ウェブ動画など様々な媒体により情報発信に努めるなど、自治体等とも連携しつつ取り組んでまいりたいと考えております。
――話題変わります。中小企業の賃上げについて伺います。城南信用金庫と東京新聞が実施した東京都と神奈川県の中小企業738社に対する調査で約72%が「賃上げの予定なし」と回答しています。中小企業は価格転嫁が十分に進まず収益を確保しづらい状況にあることが明らかになりました。雇用されている労働者の7割近くを占める中小企業の賃上げが景気回復の大きな鍵になると思います。政府として賃上げを重要課題として掲げている中、このような調査結果が出たことについてご所見を伺います。
〇松野官房長官
個別のアンケート調査結果についてコメントすることは差し控えさせていただきますが、政府としては、中小企業が賃上げを実現できる環境整備に向けて価格転嫁対策と生産性向上にしっかりと取り組んでいく考えであります。具体的には、これまで累次にわたり重層的に講じてきた物価高対策に加え、公正取引委員会や中小企業庁における大幅な増員による独禁法や下請け法の執行体制の強化、パートナーシップ構築宣言のさらなる拡大と実効性向上、毎年9月と3月の価格交渉促進月間などの価格転嫁対策に全力で取り組む考えであります。また、昨年末に成立した補正予算においては、事業再構築補助金やもの作り補助金を拡充し、生産性向上に向けた取り組みを支援するとともに、賃上げする中小企業に対して補助率や補助上限を引き上げるといったさらなるインセンティブを措置しました。こうした継続的な賃上げに向けた取り組み等を盛り込んだ総合経済対策を迅速かつ適切に実行していきます。