「心臓移植」待機の10歳未満は43人 臓器提供は米国の「68分の1」……ドナー増えない理由は? 厚労省「切り出しにくい」
心臓移植を待つ10歳未満の子どもは43人に上ります。小児心臓移植はまだ少なく、世界と比べてもドナーの数が少ないことが背景にあります。厚生労働省によると、情報提供の義務化は難しく、日本らしい事情もあります。どうすれば移植は増えるのでしょうか。
有働由美子キャスター
「日本臓器移植ネットワークによると、日本で心臓移植を待っている10歳未満の子どもは43人です(今年9月末現在)」
「日本心臓移植研究会によるまとめ(2021年12月31日時点)を見ると、17歳までの小児心臓移植の件数は日本でも徐々に増えてきているものの、まだ1桁の年が多いのが現状です。なぜなのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「やはりドナーが足りないことが大きな原因です。世界で比べても日本は少ないです。去年、人口100万人あたりで大人も子どもも含んで何人のドナーがいたのかを示したIRODaTのグラフを見ると、日本は1人に満たない0.62人です」
「アメリカは日本の約68倍、ヨーロッパ各国も日本の30~60倍のドナーがいます」
有働キャスター
「なぜこれだけ大きな差があるのでしょうか?」
小野委員
「なぜ日本でドナーが増えないのか。厚生労働省は、日本の医療機関では脳死患者の家族に対して『臓器提供という選択肢がある』ということを海外ほどは提示していないから、と考えています」
「その理由としては、命を助けるために救急救命にあたった医師が臓器提供の話を家族にすると、急に逆の方向、いわば命を諦めることとも受け取られかねないので、切り出しにくい面があるというものです。厚労省は『情報提供の義務化も難しい』と考えています」
「もう1つの背景として、日本では死について考えたり、誰かと話したりすることに少なからず抵抗があるようだと。国民と医療従事者、両方の意識を変えていかないと、臓器移植は増えていかないだろう、としています」
「厚労省の有識者会議は『すべての入院患者に臓器提供に関するパンフレットを配布すること』『説明やケアにあたる移植コーディネーターを充実させること』などを提言しています」
有働キャスター
「落合さんはご自身やご家族のこととして考えたことはありますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「子どもが生まれる時に障がいがあったこともあり、心臓にも障がいがある可能性がなくはなかったので、検査の時にとてもドキドキしたことを思い出しました」
「その時は病院でいろいろなことを考えましたが、もし自分の子どもに万一のことがあったら、臓器は移植に提供すると判断することもあるかなと思います。臓器だけでも動き続けてもらえるのは、親としてはいい状態なのではないかと僕は思います」
「ただ、そういろいろ考えた経験がない人は、冷静にそういう時に決められないかもしれないなと、自分のことを考えると思います」
有働キャスター
「臓器移植や臓器提供の考え方に正解、不正解はありません。まずは自分ごととして家族で話し合ったり、考えたりする機会にしていただけたらと思います」
(11月15日『news zero』より)