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地震発生から1か月 家族亡くした男性「何も変わらない」

2024年2月1日 6:07
地震発生から1か月 家族亡くした男性「何も変わらない」
倒壊した自宅からぬいぐるみなどを運び出す男性。能登半島地震で妻と長女を亡くし、毎日毎日“思い出の品”を捜し続けています。発災から2月1日で1か月、いまの思いとは。

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楠健二さん(55)。輪島市にある自宅の隣のビルが倒れ、妻の由香利さん(48)と長女の珠蘭(じゅら)さん(当時19)を亡くしました。

楠さんは毎日、時間が許す限り“思い出”を捜し続けています。亡くなった珠蘭さんらが作った、家族6人が写ったアルバムを見つけ…

妻と娘亡くす 楠健二さん(55)
「いつなんだろう、これ。家族全員です」
「パパとママにってくれたんです」

   ◇

居酒屋を営んでいた楠さん。楠さんの店に魚を卸していた女性は…

楠さんの居酒屋に魚を卸していた女性
「何も言ってあげられない。もう悲しいだけで。(楠さんが)『この魚どうしようかな。買おうかな』って言ってると、奥さんが隣で『いいじゃん、買っちゃいなよ』って。すごく仲のよいご夫婦でした。娘さんもすごいかわいらしい方。すごい悔しいしショック、残念です」

さらに思い出の品を見つけた楠さんは…

楠健二さん
「(このぬいぐるみは)亡くなった娘が、二男にプレゼントしたもの。2人も亡くなってるから、本人のものが見つかるとやっぱり悲しくなるよね」
「(このマグカップは)亡くなった娘が、女房と俺に白と黒のをくれた」

2月1日で地震発生から1か月。今の思いは。

楠健二さん
「発災から何日たったとか、そんなものはどうでもいいんです。2か月たって亡くなった2人が帰ってくるなら待つけど、ずっと何も変わらない。俺は」

   ◇

約300棟が全焼した「輪島朝市」。31日に「news zero」が話を聞いたのは和菓子店を営む中浦政克さん(60)です。2週間前「news zero」が取材した際に、がれきでふさがっていた店の近くの道は…

――完全に埋まってしまっていたが

老舗和菓子店を営む中浦政克社長(31日)
「ここでは私1人、孤立状態でいたので」

がれきが撤去され、通れるようになっていました。

取材中、中浦さんの携帯に1本の電話がかかってきました。

中浦政克社長
「もしもし。その辺まできてくれるとわかりやすいです。よろしくお願いします」
「(電話は)ボランティアさん」

いま、中浦さんはボランティアらと一緒に、輪島朝市を復興させようと活動を始めています。

中浦政克社長
「おつかれさま、中浦です」

ボランティア
「おつかれさまです」

早速、片付けを手伝ってもらうことになりました。

長野からのボランティア 小菅勇太郎さん(22)
「周りの学生とか、ボランティア行きたい方も多くて。ちょうど春休みになってるので、生活再建に必要なところ、手助けしていけたら」

――若い力は頼りになる?

中浦政克社長
「動きも早いし力もあるから、数倍早い片付けができている。(今回の震災は)悲しい話ばかりではなくて。応援してくれる人たち、いい方々とめぐり会ってるので、大切にしていかなければならない財産」

(1月31日放送『news zero』より)