【独自調査】子宮けいがんワクチン、医療機関「81.4%」で“接種後ケア”充実 4以上の診療科が連携 医師「重い症状まれ」
子宮けいがんの予防効果が期待されるHPVワクチン。恐怖や痛みで「接種ストレス関連反応」が起きることがあり、2013年にはさまざまな症状の報告が相次ぎました。今では、複数の診療科が連携し、接種後のケア体制を充実させる医療機関が増えています。
■「協力医療機関」83か所で対応
都内の日本大学医学部附属板橋病院。3月、会議室で産婦人科の川名敬主任教授が「初期対応のやり方次第で、すごく悪化したり治っていったり、その差が出るとよく言われています」と説明していました。
集まっていたのは、子宮けいがんのワクチン接種後に症状が出た場合、診療にあたる医師たちです。
2013年、HPVワクチンの接種後に痛みや、手足が動かしにくいなど様々な症状を訴える報告が相次ぎました。国はこうした症状が出た場合に治療などにあたる、「協力医療機関」を全国で83か所指定しています。
日本大学医学部附属板橋病院もその1つ。症状に合った治療につなげるため、産婦人科、精神科といった9つの科などが連携しています。
■「接種ストレス関連反応」とは?
この日は、副反応についての議論もありました。
麻酔科医
「副反応が否めないとなった時に、『ワクチン関連ストレス反応』(の説明)を添えていただけると、そこで理解が深まるんですけど…」
注射への恐怖や、痛みなどによって引き起こされる「接種ストレス関連反応」。どの注射でも起きうるもので、めまいや動悸などのほか、遅れて、体が動きづらくなるなどの症状が出る場合もあるといいます。
川名主任教授
「精神科にはこういう(症状の)方は来られますか?」
精神科医
「HPV(ワクチン)の方は、まだ私は拝見したことはないですが、(以前)他のワクチンで嫌な思いをしたことがある方が(症状を訴えることが)多いなという印象があります」
■重い「副反応疑い」は0.002%
厚生労働省の資料によると、去年10月から12月にHPVワクチンが接種された17万5765回のうち、重篤な「副反応疑い」が報告されたのは4例でした。
川名主任教授は「(現在は)適切な治療や、 治療が必要かどうかも含めて適切な対応ができる状態になっていますので、そこはご安心いただいていいと思います」と話します。
■「4つ以上で連携」…8割超に
岩本乃蒼アナウンサー
「川名主任教授によると、そもそもHPVワクチンを接種した後に重い症状が出ることは『極めてまれ』で、事前にがんを予防する効果やどんな副反応があるか知った上で臨むことで、 防ぐこともできるということです」
「そして、もし症状がでた場合に対応にあたる協力医療機関について国は、小児科や麻酔科、心療内科など4つ以上の診療科が連携するのが望ましい、としています」
「では実際の現場はどうでしょうか。日本テレビのアンケートで回答があった協力医療機関のうち、4つ以上で連携するとしたのは81.4%にのぼりました。去年10月の厚労省の調査では半分以下の47.5%だったため、かなり増えたことが分かります」
■日本の現状は…辻さん「啓発に力を」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「海外だと子宮けいがんが『防ぎうるがん』という認識もかなり高まってきていますし、接種率を見るとイギリスやカナダなどでは約8割で、他の国もどんどん増えています」
「それと比べて、日本の接種率は異様に低いという現状です。それを知ることだけでも、まず意識が少しずつ変わるのではないかなと思います」
「国ももう少しコストをかけて啓発に力を入れるべきだと思います。能動的に情報を得るだけではない人への啓発にも力を入れてほしいです。例えば、女性がよく目にする生理用品の包み紙や、女性用のお手洗いの壁などに、広告を出すなどしてほしいなと思いました」
有働キャスター
「(せっかくなので)きちんと伝わらなくては、と思います。定期接種の対象の小学6年生から高校1年生(相当)の方には、リーフレットが届きます。ワクチンの効果や副反応が詳しく説明してあるので ぜひ読んで、知って、積極的に検討してみてください」
(4月20日『news zero』より)