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11月半ばに20℃超「秋がない?」異例の暖かさ…飲食イベントにも“異変”が【バンキシャ!】

2024年11月18日 9:53
11月半ばに20℃超「秋がない?」異例の暖かさ…飲食イベントにも“異変”が【バンキシャ!】
17日は全国各地で20℃を超え、一部では25℃を超えて夏日になるなど11月半ばとしては異例の暖かさでしたが、18日から気温が急降下する予想です。「秋がない」と実感する声も多く、日本は将来的に季節が夏と冬だけになるかもしれないという指摘も…。【バンキシャ!】

 ◇◇◇

17日、正午過ぎ。バンキシャは都内のバーベキュー場へ(THE BBQ BEACH in TOYOSU)。

「かんぱーい!」

東京都心の最高気温は、平年より7℃以上高い23.8℃。

お客
「服装を間違えました」

「思ったより暑くて、ふわふわ着てきちゃったので。想定外です」

店によると11月としては珍しく、9割ほどの席が予約で埋まったという。

お客
「暑いです」

バンキシャ
「額に汗が…」

お客
「真夏、真夏です」

お客
「きのうくらいまでコートを着ていたんですけど、いきなり暑くなって体が壊れそう」

「秋がないと思います。今年は」

「確かに秋がない」

本来なら秋の終わり、晩秋の時期だが、異例の暖かさが続いている。しかし18日から、東京都心の気温は急降下。19日・20日は年末年始のような厳しい寒さになる予想だ。

 ◇

バンキシャ!が街で人々の季節感を取材すると、ある変化が起きていた。

「秋がない!秋どれだ?」

16日。バンキシャ!は上野恩賜公園へ。全国の日本酒やビールなどを味わえるイベント(酒屋角打ちフェス)が行われていた。

来場者
「コールド酒!一番!いえー」

「すごいうまかったよ」

バンキシャ
「全部で何杯ですか?」

来場者
「えー!これだけ。4杯と2杯と3杯」

16日の東京都心の最高気温は、平年を上回る18.9℃。この異例の暖かさで、こんな影響が…

こちらの「けんちん汁」を販売する店では…

けんちん汁店 店主
「去年(2023年)のこの時期は寒かったので、結構売れたんですけど、今年は暖かいので去年に比べるとって感じですね」

この日は300杯ほど売れたが、一日の売り上げは2023年と比べて、3割減ってしまったという。

日本酒の販売店ではどうなのか。

冷たい酒と熱かんを取り扱う店に定点カメラを設置させてもらい調査した。すると…

店員
「冷えてるのがいいですか?」

お客
「冷えてるので」

午後4時からの1時間で、冷たいお酒は40杯。熱かんは0杯という結果に。

浅草酒販連合会 会長
「なかなか温度(気温)には勝てない」

さらに酒蔵で働く人からは、こんな声も。

石川県で日本酒製造
「日本酒にとって大事なお米ですね。(暖かさの)影響は多少なり受けていると思います」

異例の暖かさで、日本酒造りの現場にも影響が出ているという。

 ◇

そこで、バンキシャ!が向かったのは、1851年創業、埼玉県にある酒造会社。

案内してもらったのは、日本酒造りの生命線である「麹」を作る部屋。この異例の暖かさで、使われる米に変化が。

帝松 松岡醸造 七代目・松岡奨 取締役社長
「これだけ暑い日が続くと、お米が硬く締まってしまうことがある。それだけお水の吸いも悪くなります。そこが一番大きな影響になってくる」

水の吸収が悪くなると「麹」がつくりづらくなり、求める酒の味になるまでの手間が増加。特にここ3年ほどは硬い米が続き、これまでの知識や経験だけでは品質を維持することが難しくなったという。そこで行われているのが…

松岡社長
「もうちょっとだけ吸わせたい。12分で上げようと思います」

硬くなった米を水に浸す時間を一分単位で変え、試行錯誤しているという。

松岡社長
「その時代の気候に合わせて酒造りも少しずつ変えていかないと。昔のままやっていたのでは、いいお酒ができないと」

 ◇

一方で、うれしい誤算があった場所も。宮崎県都城市の熱帯果樹園。ビニールハウスで育てられていたのは…

上田熱帯果樹研究所 上田 純市さん
「バナナがこちらになります」

バンキシャ
「あ、ほんとだ。バナナが」

この時期の夜の気温は例年、一桁台。バナナは寒さに弱いため、15℃以下にならないよう暖房機で暖めていたという。

上田さん
「灯油で暖房機を動かすんですけども」

2023年11月の領収書を見せてもらうと、灯油を4回給油し、合計約3万2000円。しかし2024年は夜の気温が高く、11月は未使用。

上田さん
「灯油代がかなり助かっています」

さらに、予想していなかった出来事が…。案内されたのはビニールハウスの外。そこにあったのは…

上田さん
「ここが露地になっているバナナになります」

バンキシャ
「あ、これか!うわホントだ。外にもバナナが」

ビニールハウスの風よけとして外に植えていたバナナの木。そこに実がなっていた。11月に入っても、最低気温が15℃を切ることが少なく、育つ環境が整っていたからではないかという。

バンキシャ
「11月にバナナってできるものなんですか?」

上田さん
「いやー、今まではないですね。今年みたいに4、5か所でバナナが塊になるのは初めてですね」

まだ生で食べられるほど成長することはないというが…

上田さん
「露地でバナナを作れるっていうのは、新しい可能性の一つかなと思います」

「バナナチップスとか。たくさんなってくれば商品化もできたら面白いかなと」

 ◇

異例の暖かさが続き、気づけばもうすぐ冬。いったい秋はどこへいってしまったのか?バンキシャ!が街(東京・銀座)で聞いた。

「あなたはいま、四季を何月で分ける?」

まずは21歳の大学生2人。

バンキシャ
「見せていただいてもいいですか?」

大学生
「秋ほぼ10月だけかなって思って。もうそろそろ冬かなと思って短めにやりました」

右の大学生も秋と感じるのは10月から11月にかけての1か月ほどだという。

「秋服いらないなと思いました。短すぎて」

バンキシャ
「買わない?」

大学生2人
「買わない」

――こちらの会社員は四季をどう分けるのか。

会社員
「春もまあまあ短い」

「秋もないよ」

バンキシャ
「だいぶ夏が占めてますね」

会社員
「そうですね。すごい暑かった、ことしも」

バンキシャ
「おにいさんも夏が占めている感じ?」

会社員
「そうですね。6月から10月の半ばくらいまで暑かったなと思ったので」

その長い夏が終わり、ようやく秋を感じ始めたと思ったら…

「街だけがクリスマス感をもう出してきてついていけない」

「ついていけない。まだ秋が来てない。いまようやく来てる」

――冬服を買いに来たという夫婦。四季を分けようとするが…


「秋がない!秋どれ?秋がない!」

忘れられた秋。ギリギリ10月からの1か月に滑り込ませた。


「即答はできなかった」


「ここが一番難しいです」

暖かい日が続いたことで、日常生活にも影響が…


「(11月なのに)洗濯物がかさばらない。冬服はかさばるんですけどそこまでかさばってないから洗濯が1回ですみます」

 ◇

気候変動などに詳しい、三重大学の立花教授は、これからの日本の四季について…

異常気象や気候変動などに詳しい 三重大学・立花義裕 教授
「こうなっていくと思いますね」

立花教授
「秋はほんの1か月くらい、11月だけになる。今です。このように長い夏と、ちゃんと冬があって、そして本当に少ししかない、秋と春と」

「四季の国から二季の国に変わっていく。もうそうなっていると思います。今年は少なくとも」

「異常気象がニューノーマルな時代にすでに差し掛かっていると思います」

このような異常気象が、今後も起こる可能性があると指摘した。

*11月17日放送「真相報道バンキシャ!」より
最終更新日:2024年11月18日 9:53