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寄付件数増も…ふるさと納税“値上げ”の波

2022年1月13日 19:29
寄付件数増も…ふるさと納税“値上げ”の波

値上げラッシュや品不足の波が、ふるさと納税にも押し寄せています。値上がりしている食品などへの寄付件数が増えている一方で、市場価格の高騰に合わせ、寄付額を引き上げざるを得ない自治体も出ています。



濃厚な味わいが多くの人の舌をとりこにしているウニ。しかし、13日、築地場外市場の「斉藤水産」では、1年前は5000円前後だったというウニが、9800円まで高騰していました。

斉藤水産・斉藤又雄さん
「ものによっては3倍、倍くらいの値段になってる」

30代主婦
「買おうと思ったんですけど、やめました」

去年、北海道を襲った赤潮により、大量死したウニ。品薄の状態は今も続き、価格の高騰に拍車がかかっているのです。

知る人ぞ知る高級ウニにも影響が出ています。兵庫県洲本市で、ふるさと納税返礼品になっている“由良のウニ”です。

兵庫・洲本市魅力創生課 塩寺肇課長
「寄付額がかなり上がりました。もともと1万2000円くらいだったんですけど、最終的に2万円というふうに」

ウニの市場価格が上がるにつれ、ふるさと納税の寄付額も引き上げざるを得なくなっているというのです。

ところが、寄付額は上がっても寄付件数は倍増しています。

兵庫・洲本市魅力創生課 塩寺肇課長
「12月だけで、申し込み件数が2倍近くになっています」

洲本市は、高額になっても、ふるさと納税でお得に食べたい人が多いのではないかとみています。



ふるさと納税にまで影響が出始めた値上げの波。

街では、値上げしている食品などをふるさと納税で手に入れようという声が聞かれました。

50代主婦
「10円でも20円でも(値段)上がったりすると、家計に響くなって」

30代会社員
「食料品の値段が上がるとニュースで聞いているので、ふるさと納税で補えれば」

その流れを強く感じていたのが、タマネギ有数の産地、北海道・美幌町です。

北海道・美幌町 政策統計グループ 中村圭吾主査
「寄付件数は8倍を超えているという状況。高騰しているので、『返礼品として受け取れたことがうれしかった』というコメントもいただいている」

北海道では、去年夏の雨不足などの影響で、タマネギが品薄になっていて、価格も高騰していました。そこで美幌町は、生産者支援のため、規格外の小さめのタマネギをお得な返礼品に追加しました。その効果もあって、寄付件数が急増したのです。



値上げの波は家庭用のティッシュにも及んでいます。「大王製紙」は11日、家庭用紙製品全てを15%以上値上げすると発表しました。

そんな中、栃木県小山市では、340品以上ある返礼品の中で、ティッシュなどが大人気です。

小山市総合政策課・高山晴子課長
「小山市の返礼品として人気のあるティッシュやトイレットペーパーになります」

中でも一番人気なのが、1万2000円の寄付で家まで届くティッシュ60箱です。

記者
「肌触りがさらっとしていて、使い心地が良さそうです」

小山市では、ふるさと納税全体の寄付額が今年度9か月分だけでも、昨年度分を超えていて、ティッシュとトイレットペーパーだけで、寄付額の約6割を占めているというのです。

また、12日、返礼品急上昇ランキングに栃木県小山市のティッシュが5位にランクインしました。値上げの発表により、ふるさと納税でティッシュを手に入れようとする心理が働いたのでしょうか。

小山市総合政策課・高山晴子課長
「家計を少しでも助けることになるのであれば、ふるさと納税を使っていただいて」

また、コロナ禍で外出しにくい時期に、日用品が家庭まで届く便利さが、人気の理由の1つではないかということです。