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ごみ捨てられなくなる?──処分場の今と減量のコツ 生ごみは“片手で1億円”削減 無料?有料?…街の声【#みんなのギモン】

2024年9月18日 10:18
ごみ捨てられなくなる?──処分場の今と減量のコツ 生ごみは“片手で1億円”削減 無料?有料?…街の声【#みんなのギモン】
ごみを埋め立てる最終処分場の空き容量が減り、将来は捨てられなくなる可能性も懸念されます。全国民の家庭ごみは、約6日で東京ドームが満杯になるほどの量です。回収の有料化などが有効な対策の1つにありますが、各家庭でできる減量のコツを紹介します。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「ごみ捨てられなくなる?…対策は」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●意外と多い 1日のごみ量
●どう減らす? 片手で1億円

■最終処分場が満杯になるまでの年数

近野宏明・日本テレビ解説委員
「このままいくと、将来ごみを捨てられなくなるかもしれません。環境省によると、全国にあるごみの最終処分場が満杯になるまで、残された年数は23.4年(2022年度末時点)とされています」

「最終処分場は、海や山の谷間などに埋め立てるところですが、清掃工場でごみが燃やされて灰になったものや粗大ごみ、リサイクルがどうしてもできなかったものが埋められています。これが全国レベルではあと約23年で満杯になると試算されています」

鈴江奈々アナウンサー
「私が中学生ぐらいの時もごみの処分場がいっぱいになってしまうのが社会問題になっていて、テレビなどが伝えているのを見ていました」

森圭介アナウンサー
「最終処分場は増やせないんですか?」

近野解説委員
「増やすためのヒントをこれから考えなきゃいけないんですよ。今は、施設そのものを増やす、新しいものを造るのはなかなか困難です。(残り約23年というのは)全国に1500ほどある処理場全体で見た時の数字で、それぞれの地域で事情は少し違っています」

■東京では50年以上埋め立て可能も…

近野解説委員
「東京都の場合、江東区に『海の森』と呼ばれる埋め立て地があります。都環境局によると東京ドーム約170個分の広さがあり、今後50年以上は埋め立てが可能ですが、50年経ったらどうするかについては具体策はなく、ごみを削減していくしかないということです」

鈴江アナウンサー
「ごみは私たちの生活の中で生まれてしまうものですが、責任を持ってこの問題に向き合わないといけないですよね」

■1日あたりの家庭ごみの量は?

近野解説委員
「一人一人の努力が大切です。私たちが1日に出すごみの量、どれくらいだと思いますか?」

斎藤佑樹キャスター
「バケツ1杯分くらいですかね?」

近野解説委員
「いい線行っています。環境省によると、2022年度末時点で1人1日あたりの家庭ごみの排出量をならすと496グラムです」

森アナウンサー
「そんなに出してしまっているんですか…」

近野解説委員
「全国民となると、1日あたり約6万2000トン。東京ドームが約6日でいっぱいになってしまうほどの量です。処理するにもお金がかかっていて、1人あたりのごみ処理事業経費は1万7100円です」

森アナウンサー
「月に1000円ちょっと、ごみを処理するのにもお金を使わないといけないということですね」  

近野解説委員
「ごみは、社会的なコストが結構大きいんですよ」

■同じ東京でも…有料・無料に地域差

近野解説委員
「国も自治体も減らすための努力に頭を悩ませていて、その対策の1つが、ごみの有料化です。有料化というのは指定されたごみ袋でないと回収されない、指定のごみ袋を買ってください、などといった仕組みです。有料化を経験したことはありますか?」

森アナウンサー
「前に住んでいた地域は、指定のごみ袋があって名前を書くところがありました。それでないと捨てられない、回収してくれないんです」

「ばらつきはありますが、そういう形を取っている地域もありますよね。例えば茨城・水戸市では45リットルの指定のごみ袋が10枚で300円、千葉市は同じ10枚で360円、栃木・宇都宮市やさいたま市は無料です」

「東京23区は無料で、どこの区も何年も前から有料化をめぐって検討・議論されているものの、実施されずに今に至っています」

「有料化するならば『負担増になるんじゃないか』という住民からの反発も予想されますし、人口も多いです。外国人の人口も増えているので、しっかり周知させなければ制度として意味をなさなくなるなど、課題はあります」

「一方で東京の中でも多摩地域は既にほとんどが有料化になっていて、八王子市は40リットルの袋10枚で750円です」

■多摩地域では6年前から埋め立てナシ

河出奈都美アナウンサー
「私はごみの有料化を経験したことがないので、住んでいる地域によってごみに対する考え方が違うんじゃないかなと思いました。なぜ多摩地域と23区では差があるんでしょうか?」

「多摩地域には既に満杯になってしまった『谷戸沢処分場』があります。もう1つの『二ツ塚処分場』はありますが、有料化を進めていくことで、まずはごみの量を減らすとともに、資源としてリサイクルする方向に大きく舵を切っています」

「その結果、多摩地域では6年前から埋め立てを行っていません」

■街で聞く…ごみの出し方や考え方は?

近野解説委員
「最終処分場の実情は地域によって様々で、ごみ袋が有料かどうかも差があります。街の声を聞いてみました」

東京・羽村市に住む人
「有料ですね。生ごみ・燃えるごみは有料で、(袋を)まとめて買います。(無料のところもあるとは)知らなかったです」

神奈川・横浜市に住む人
「スーパーの袋を使ったり、プラスチックだと大きいごみ袋を買ってきて出したりします。無料の方がありがたいです」

東京・小金井市に住む人
「ごみの出し方とか、ごみをどうやって減らすかとか、有料化になった時に考えたので…」

■有料化で…どれだけ減らせる?

近野解説委員
「有料化でどれだけ減ったのか。八王子市の場合、2004年からごみ袋を有料化すると同時に、それぞれの家の前にごみを出す戸別回収に変更しました。有料化前の2003年はごみの総量が20万7000トンありましたが、去年は約14万3000トンでした。大分減りました」

斎藤キャスター
「責任感がみんなに芽生えたということなんですよね、きっと」

近野解説委員
「こういった施策が意識を高めている可能性はありますよね。ごみ袋は40リットル10枚で750円ですが、結果としてごみが減ったことで、使う袋の量も減少。市の想定では、袋代の負担は当初1家庭につき月額500円ほどでしたが、今は300円ほどとみられます」

鈴江アナウンサー
「コスト意識を持つと、ごみを抑制する効果があるということが分かりますね」

■プロに聞く…ごみをどう減らす?

近野解説委員
「私たちが普段からできる、ごみを減らす方法をプロに聞きました。お笑い芸人で現役の清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんによると、牛乳パック6枚がトイレットペーパー1ロール分に変わります。捨てればただのごみですが、資源になります」

「引き出しにたまっているようなコードなどは、そのまま不燃ごみとして出すと他のごみと一緒に埋め立てられるだけですが、清掃事務所や自治体の施設のボックスなどに持っていくと、資源として回収されます」

「そして『片手で1億、両手で3億』です。みんなが生ごみの水分をギュッとしぼると、それだけ経費を全体で減らせるということです。これは多摩市が呼びかけているものです」

「焼却費用は重さで変わるため、水分が減ると軽くなって安くなります。水分があると炉の中の温度がどうしても下がって燃料費がかさむので、しぼった方がいいんです」

鈴江アナウンサー
「都市鉱山と言われるように、家電製品や使っていないものなどが多く眠っています。それらがごみになるか資源になるか、私たちの1つ1つの選択で変わってきます」

森アナウンサー
「捨てるにもお金がかかるんだと考えれば、結果的にごみは減らせる。心がけで変わりますね」

近野解説委員
「みんながこういう努力をちょっと行うことによって、状況は意外と大きく改善することが分かるかと思います。有料化する・しないに関わらず、できることから取り組んでいく必要がありそうです」

(2024年9月17日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト